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私と葺合高校 ~OB・OGは今~


第2回 足立真希さん (フォト エッセイスト)
アフリカの子供たちと足立真希さん平成18年3月 国際科卒業
東京学芸大学 国際理解教育課程卒業
NGOなどでアフリカ支援活動を行なう

 "Where there is a will, there is a way"(意志あるところに道あり)。葺合高校で出会った言葉です。土砂降りの葺合高校の入学式から、早いもので10年経ちました。大学でアフリカの開発教育について語った日々、アフリカでエイズ孤児の支援事業に携わっていた時。国際映像祭の運営に走り回っていた毎日。つまずきながら、転びながらも前に進んできたこの10年を振り返ってみると、私の芯となる部分は、葺合高校でできたものだと強く感じます。

 「自主の人たれ 創造の人たれ 世界の人たれ」。この葺合高校の教育方針に基づいた授業は、目を見開かせられるものばかりでした。アメリカに4年半住んだ経験がある私は、英語が得意でしたが、英語は伝達手段に過ぎないことに気付かされました。相手に何を伝えるか、どのように伝えるか、それが重要なのです。自分の意見をはっきりと持った仲間に囲まれた私は、授業中はもちろん、クラスメートとディスカッションやディベートで意見を戦わせ、休み時間になっても国際問題について話す、という日常の中にいました。その日常は、私のその後の大きな糧になりました。国際問題について情報を収集し、自分の頭で考える。その先にある「伝える」という行為は、まず核となる論点や自分の想いを明確にし、相手に分かりやすく話す必要があります。「伝える」ことを学び、また共に切磋琢磨できる仲間に出会えたことは、今の私の芯になっていると強く感じます。そして、自分の夢についてとことん考えた時間は、今の夢にもつながっている大切な時間です。

 高校卒業後、私は東京学芸大学で開発教育を学び、エイズ孤児支援NGO・PLASというところで活動を始めました。東アフリカのウガンダで学校建設事業に携わり、ケニアではエイズ啓発事業の運営のため、半年程現地に滞在しました。アフリカと日本を行ったり来たりする大変さはありましたが、現地の人の想いを形にし、彼らと共に事業を創り上げる活動に、私は心から共感していました。そして、祖母が倒れたことをきっかけに日本にしばらくいることを決め、NPO法人地球映像ネットワークに入社しました。そこでは自然や野生生物のドキュメンタリーの国際映像祭の運営に携わりました。500本近くの世界中の映像を観たことは、私に大きな影響を与えてくれました。

 今、私はアフリカに映像学校をつくることを夢に、活動を始めたばかりです。その夢は私のアフリカへの、そして世界の子どもたちへの高校時代からの10年の想いが詰まったものです。自分の手で道を切り開くことに対して臆病風が吹くこともあります。でも、その時は葺合高校で出会ったあの言葉、そして世界中で活躍している仲間の姿を思い出して、前へと足を踏み出しています。

 "Where there is a will, there is a way"(意志あるところに道あり)―。自分を信じて一つのステップを踏むことは、いつの時も少し怖く、でも新しい世界への期待感に溢れています。この葺合高校で学び、活動しているみなさんには、様々なことにチャレンジしてほしいです。そして、これから世界で様々な人に会い、成長してほしいと思います。外に出て、見て、聞いて、感じて、自分の五感を大切にしてください。国境も人種も先入観も、すべてを飛び越えて、あらゆるものに触れてください。自分自身と向き合いながら、考え、自分の限界の枠をどんどん超えてください。それがきっと新しい扉を開き、夢の実現につながります。