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私と葺合高校 ~OB・OGは今~
第15回 小山 由真 さん Google 勤務

平成26年3月 国際科卒業

関西学院大学国際学部を経て現職


葺合高校を卒業してから5年以上の月日が経ってしまいました。私の葺合高校での3年間は、校舎建て替え真っ只中の時期で、学年ごとの思い出は、旧校舎、プレハブ、新校舎とそれぞれに散らばっています。就職をきっかけに初めて神戸を離れ、上京して3年目になりました。新卒でGoogleに入社し、現在はデジタル広告に携わる仕事に奮闘する毎日を送っています。葺合の後輩の皆さんにエールを送らせていただく貴重な機会をいただいたので、「葺合高校での3年間が今の自分にどんな影響を与えてくれているか」をお伝えできればと思っています。


入学当初は、とにかく英語の授業が苦痛で仕方ありませんでした。英語が好きで、得意で、国際科に入学したはずなのに、ネイティブさながらの英語を話す同級生たちを前にしての発表が恥ずかしくてたまりませんでした。しかしながら、卑屈になっていた私を変えてくれたのも、国際科の同級生のみんなでした。ペアワークの場面でも、私のたどたどしい英語が笑われることは一度もなく、みんな黙って耳を傾け、伝えたいことを汲み取り、詰まった時は単語をこっそり囁いてくれました。そんなみんなに鍛えられた英語は、今の私を支えてくれています。近年、語学は機械任せで事欠かないという意見も広がる中で、誰もが知識や意見を発信、拡散できるようになり、一段と情報が錯綜する社会になってきているように感じます。語学を習得することで、細かいニュアンスを含めて理解できる情報が増え、それを基に自分の言葉で世界中の人と対等に話すことができるとなれば、人生の選択肢が増えていくことを身を以て実感しています。海外経験や留学経験がなくても、英語に怖気つかない度胸が何よりも重要だと教えてくれた先生方、同級生のみんなに感謝しています。


また、葺合高校に通えたからこそ訪れた転機もありました。"International Affairs"という授業の中で、国際機関の存在を改めて学び、初めて現実的に将来の夢を考えるようになりました。先生や友達に背中を押されて挑戦した「高校生トルコ訪問事業」で、日本同様に地震大国であるトルコを訪問し、先進的な技術が国境を超えて誰かを救う可能性に心惹かれるようになりました。それから、国際機関で働くことを目標にするようになった私は、関西学院大学進学後、国連ボランティアプログラムに参加し、モンゴルの国連機関で約半年間働く機会を得ました。その後、「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」をミッションとして掲げるGoogleに出会い、理想の形で誰かの生活を豊かにする仕事が一緒にできそうな気がして、入社を決意し、今に至ります。


振り返ってみれば一貫性のあるストーリーに思えますが、全て巡り合わせがよかっただけとも感じますし、もちろん上手くいかないこともありました。ただ、様々な経験や転機を踏み台に、今を楽しめているのは、葺合高校での生活が、貪欲な好奇心、前向きな気持ち、思いやりの大切さを教えてくれたからだと思うことがあります。卒業後、様々な方とお会いする機会をいただく中で、今でもやはり葺高生や先生方の「人としての魅力」は別格であるように感じます。インターン先や職場で、憧れの職業で活躍されている方々が、実は葺合出身のOBだったと後に知り、不思議と納得感を得たこともありました。

2020年に入り、COVID-19の猛威の最中、在学中の皆さんも先の見えにくい日々を過ごされているかと思います。焦りや不安を覚えることもあるかと思いますが、10代の時間を葺高生として過ごすことで培われた感性そのものが、日本だけでなく、世界の中でも特別なものになるということが皆さんに伝われば嬉しいです。先生や同級生だけでなく、卒業生の私たちも皆さんの味方であることをどうか忘れずにいてください。


先日、フォトアルバムを整理していると、卒業時に国際科のみんなと制作した卒業ムービーを発見しました。夢を書いた紙と一緒に、少し幼い笑顔で映る18歳の私たちの姿が流れてきて、当時の私が思い描く大人の姿と、今の自分を重ね合わせました。変わってしまったことも多いけれど、高校3年間がもたらしてくれたスキル、感性だけは揺るがないものとして私の糧となっていることを再確認しました。仕事や日々の生活に忙殺される中で、目先の目標ばかりを追いかけてしまいがちですが、18歳の私たちが憧れた将来の姿を思い返しながら、私も毎日を過ごしていこうと思います。