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2021/03/01

祝 卒業

| by:広報企画部
祝 卒業

 厳しい冬もようやく終わりに近づき、校庭の梅の花が馥郁(ふくいく)たる香りを漂わせ、春の訪れを感じさせてくれる、今日の佳き日に、神戸市立葺合高等学校 卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、保護者の皆様方にご臨席を賜り、ともに、巣立ちゆく卒業生を祝福していただきますことに、心からの御礼とともに、本校教育活動に対し、ご理解とご協力を賜りましたことに感謝申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんとは二年間のお付き合いでしたが、いろいろな思い出が蘇ってきます。皆さんの授業中での真剣な眼差し、部活動や学校行事で一生懸命汗を流している姿、そして台湾への修学旅行の楽しい思い出が、走馬灯のように巡ってきます。

 一方で、この一年は新型コロナウイルスの世界的流行で、歴史に残るような大変な年となりました。三ヶ月間の休校で、それぞれの「自主の人」としての真価が問われました。最後の文化祭や試合、大会が中止となり、目標を一時見失った人もいたとは思いますが、新たな価値を見つけ出し、「創造の人」として目標に向かって進みはじめた人もいたことでしょう。パンデミックの今こそ、世界中の人々と連携して乗り越える必要性を感じます。「世界の人」として活躍することを期待します。

 多くの医者や研究者がコロナ収束への研究を続けていますが、今から百年ほど前に、日本の近代医療の礎を築き、世界の医学史にその名を残した細菌学者がいました。その人は北里柴三郎と言い、新しい千円札に肖像画が載ります。北里は三十三歳の時に、ドイツに留学し、コレラ菌や結核菌を発見したローベルト・コッホの下で細菌学を学びました。その後、破傷風菌という致死率の高い細菌の血清療法を開発し、多くの人の命を救います。さらに十四世紀のヨーロッパで黒死病と恐れられたペスト菌も発見しました。当時の日本の医学は大きく遅れていましたが、彼は刻苦勉励して成し遂げました。

 皆さんへの餞として、彼の言葉を送りたいと思います。彼はある悩む学生にこんな話をしました。「人に熱と誠があれば、何事でも達成するよ。よく世の中が行き詰ったという人があるが、これは大いなる誤解である。世の中は決して行き詰らぬ。もし行き詰ったものがあるならば、これは熱と誠がないからである。つまり行き詰まりは本人自身で、世の中は決して行き詰るものではない。熱と誠をもって十分に学術を研究したまえ」と話し、励ましました。学生はその後研究に励み、後に京都帝国大学、今の京都大学の総長となりました。

 熱と誠、情熱と誠実さがあれば、多くのことが達成されると、私も考えます。目標を成し遂げたいという情熱と、人に対する思いやりや誠実さがあれば、多くの人が皆さんを支えてくれますし、後押ししてくれます。

 皆さんは卒業後、人生の次の段階で新しい局面を迎えることでしょう。やがてコロナが収束し、新たな世界が開かれると想像しますが、生きていく上では様々な困難とも遭遇します。しかし、熱と誠で乗り越えて、人生の成功を掴んでほしいと強く願います。

さて、いよいよお別れのときです。皆さんを応援してくださったご家族や周りの方への感謝の気持ちを忘れずに大きく羽ばたいてください。

卒業生の皆さんのご健康とご多幸をお祈りし、式辞とさせていただきます。

 

令和3年3月1日

   神戸市立葺合高等学校長

 

 


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