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2020/05/20

リスクを乗り越えて

| by:広報企画部

リスクを乗り越えて
(同窓会の「令和2年度筒台会報」より)

 

 青葉が美しい季節となりました。筒台会会員の皆様には、平素より本校の教育活動へのご支援、ご協力にご尽力いただき、心より感謝申し上げます。

 4月、満開の桜の下での始業式、入学式、引き続いて、新入生歓迎行事や部紹介、一年生のオリエンテーション合宿を予定していましたが、新型コロナウイルスの蔓延により、全ての行事が変更となりました。この原稿執筆時(4月上旬)には、神戸市立学校は5月6日まで臨時休校になりました。

 4月7日の夕方に、安倍首相より7都府県に「緊急事態宣言」が発令されましたが、8日の始業式と、入学式に替わる入学時説明会は、感染防止に最大限の注意を払いつつ、教室内での放送により行うことができました。例年の入学式では、多くのご家族、ご来賓の臨席の中、新入生は皆さまの歓迎の拍手で入場し、式辞、祝辞が述べられるところですが、今年はできなかったということに対して、新入生とご家族の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、8日の夕方に、教育長から入学時説明会と登校日の中止の通知が出されましたので、例年と形が異なるとはいえ、本校では実施できましたことに教職員一同胸をなで下ろしました。一方、学校再開後は学習の遅れや生活の立て直しなど問題は山積しています。

 政府の「教育再生実行会議第11次提言」(令和元年)によりますと、「第4次産業革命とも言われる、AIやロボティクス、ビッグデータ、IOTといった技術の急速な発展に伴い、我が国において、Society5.0と言われる超スマート社会が到来しつつある」と言われている時代に、ウイルスによって、世界中がこのような大混乱に陥るとは、一年前の令和の新時代を迎えたときには想像もしていませんでした。しかし、歴史を遡ると、感染症との戦いは古代から続いており、国の盛衰にも大きく関わってきました。古代ギリシャのアテネとスパルタの間で起きたペロポネソス戦争中(BC431BC404)に、アテネで疫病が蔓延し、衰退したアテネが敗北しました。14世紀半ばにはヨーロッパで黒死病と呼ばれるペストが猛威をふるい、死者は3~4人に1人に及び、キリスト教会の権威が失墜し、社会秩序が崩壊していきました。1918年のスペイン風邪の流行では世界中で5000万人以上が死亡し、第一次世界大戦の終結を早めたと言われています。1918116日付の神戸新聞には、「累々るいるい遺骸いがいの山 累々棺桶かんおけ野ざらし」の記事にあるように、兵庫県内でも感染が爆発的に拡大し、学校が閉じられたり、マスクの値段が高騰したりするなど、現代と通じる場面もうかがえます。当時も行動が徹底できず蔓延を許してしまったようです。ドイツの鉄血宰相ビスマルクが「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と述べているように、歴史から教訓を学ぶべきです。

 人類は今までも感染症との戦いで、ワクチンや治療法の開発により乗り越えてきましたので、いずれその叡智によってパンデミック(感染症の世界的大流行)が終息することを信じていますが、その後、世界は大きく変わると思います。生徒達にとっては厳しい時代になることが予想されますので、乗り越えていく力をつけるための教育が益々重要になってきます。

 本校は昨年、創基80周年を迎え、神戸文化ホールで80周年記念式典が執り行われました。昭和14年の開校以来、80年間の歴史の中で、昭和20年の空襲で全校舎が焼失したことや、平成7年の阪神大震災で被災したことなど、多くの苦難に遭遇しがらも、筒台会をはじめ多くの方々のご支援とご協力によって乗り越えてきました。葺校生はいつの時代でも、教育目標の「明るく、活気に満ち、充実した高校生活の創造をめざして」います。

 平成26年から5年間の文部科学省指定のスーパーグローバルハイスクール事業(SGH)では最高の評価をいただき、昨年度からはワールドワイドラーニング・コンソーシアム構築支援事業(WWL)の拠点校に指定されました。WWLの学びのテーマが「リスクマネジメント」です。昨年度も7月のインターナショナルコンファレンスや12月のWWL等課題研究交流発表会、1月のWWLフォーラムなどで海外の姉妹校や市立・県立・国立・私立高校の生徒達と協働して、国際連合が提唱しているSDGs(持続可能な開発目標)等について、高校生としての問題意識や解決するための取組を話し合ってきました。今後、パンデミックが終息し、日常の生活が戻りましたときに、生徒達が世界のリスクについて考え、議論し、多くの人と協力し合って行動することを期待しています。

 筒台会の皆さまには、引き続き、生徒の活動と本校の発展を見守っていただきますとともに、変わらぬご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

令和2年5月10日

神戸市立葺合高等学校長

 

 

 


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