第1回講演会(令和4年度)

第1回 教育相談講演会 

日時      令和4年6月7日(火) 10:00~11:45

場所      神戸市総合教育センター 10階ホール

演題      「不登校の子どもの親としてできること・しなくてよいこと」

講師      吉田圭吾 氏

神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授 

臨床心理士

参加人数   336名 


講演概要

1.はじめに

親として、しなくてよいことはたくさんあるのでは?自分は中学生が好きだ。中2病・反抗期の中でその子らが必死で生きようとしている。もがき苦しんでいるその姿が好きだ。

子どもは、親が手をかけて育てるもの。手のかかる子でよいのだ。


2.症状・問題行動の持つ意味

①入場券について

問題行動は色々(暴力・家のお金を盗むなど)。物を盗む子は、1度愛されていた経験のあ

る子が愛されなくなった子かもしれない。(弟ができて寂しかったのに言えなかったなど。「盗むのは悪くない。だって自分は弟にお母さんを盗まれた。」と言う気持ちがあるからである。

思春期はもっと本音が言いにくい。家族以外のバイト先の店長に助けられることもある。

入場券とは、「出発」と思えばいい。不適応行動をしてSCに会うことになったら、そこか

らが始まりだと思えばいい。    

②警告について

起きてこない・しんどい・頭痛・微熱・不登校=心に大変な混乱が起きている。「何で行きたくないの?」と聞いても無理。子どもは自分でも理由が分かってない。

③安全弁について

リストカットなどは、非自殺性自傷行為。自分の心がよりしんどい状況にならないために、それまでしんどさでパンパンに膨らんでいた心の風船に穴(傷をつけて)をあけて、プシューッと安全弁で抜いているようなもの。わかってあげて。

④問題解決手段として

1人で苦しさが充満しているときは、リストカットが心を救う手段になっていることもあ

る。だから、「何でそんなことしたん!」と怒るより寄り添ってあげて。

⑤厄介ものについて

子どもは、不適応行動を起こして、「入場券」を得てSCにつながって快方に向かう。

子どもの1つ1つの行動に対して、親が怯み過ぎないこと。


3.症状の発達促進的意味

① 学校に行っていなくても子供は生きている。

精神発達は、環境が整ったら戻っていく。それまで親はどう耐えるか?普通にかかわってやればいい。家の中で「よい時間」を過ごしてやることが大事。例えば母が自分の友達親子と連れて立って遊びにいくと、不登校の我が子はその友達親子と普通に接することができることもある。  ※子どもの心の奥底にある「自分も普通にしたい。」という欲求をわかってあげることが大事。                       

② 子供の成長を見守る

好きなことを諦めている子もいる。そのことをしている人を家族が悪く言うと、自分のしたいことや自分を否定された気になり、言えないこともある。親たちも、「自分がどんなことを我慢させられてきたか」・「分かってくれたのは誰か」思い出そう。(3世代分析)

③ 苦しみを通して人は成長する

相手の悩む力を分かってあげて、一緒に過ごしてあげること。共有してあげることが大事。

④ 遊ぶことと癒し

中学生はなかなか自分の思いを話せない。小学生なら、プレイセラピーで心ゆくまで遊んであげて話せるが・・。中学生はゲームで遊びながら悩みを話しだすことがある。また、好きなスポーツや趣味の話などをして内的世界を表すものを共有するとよい(心の窓)。(ただ、ネットゲームなど、1人で一日しているようなゲームではないようなゲームでかかわりを持ってあげよう。)一緒に体や頭を使ってゲームをしながらいろいろな本音の話をしよう。子どもは「こんな話をしてもいいんだ。」と思えるようになる。例えば、「転生願望法」と言うのがある。「生まれ変わったら何の生き物になりたい?その理由は何?」と聞く。逆に「生まれ変わりたくないものは?」「なぜ」と聞いてもよい。

自分がいかに大事にされていないかと言う意味を持つものが「生まれ変わり」への答えであることが多い。(例えば「かわいがられる犬になりたい」⇒かわいがられてないという思いがあるのかも。だから例えば「(動物の)ナマケモノになりたい。」と言った子どもには、「すごい頑張り屋さんなんだね。」と返してあげるとよい。そうすると「何でわかるん?」と子どもは返してくる。そこから親子の話が始まる。

⑥3つの願い

子どもに3つの願いを言わせてみると、3つ目に言ったものが一番欲しいもの。たとえば「世界平和」と言った子どもは、家の中が平和ではないのだろう。

⑦将来展望

 「まだ、わかんないよね。」でも、カウンセリングで一番立てないといけない目標

※余談だが、カウンセリングに大きなぬいぐるみを持ってくる子は、注目させて自分を印象付けたい子。また、家庭訪問の際、その子の好きな曲を流すと、こちらに反応してくる。これで成功。引きこもりの子どもの懐に飛び込んでかかわっていくという手法。

⑧絵を描くことと土をこねること

粘土をこねてこねて温めて柔らかくすると、壁に投げたら、壁にくっつく。それを見せると子どもはびっくりする。「自分もやってみたい。」という。子供は長時間かかるのでその時間の中で粘土を柔らかくしながら自分の心も柔らかくさせていくことができる。

4.プレイセラピー

① ネガティブな気持ちの大切さをそのままに受け止める。

② いかに我儘に見える気持ちを認めてもらうことが大切か。(絵を描かせて分かることもある。肉親を失ったのに、母が泣くので自分は泣けなかったという子の気持ちなどが表れていることもある。)

③ 我が儘(selfish)と我がまま(goinng my way)の違い

我が儘に見られても、goinng my wayを貫くのも大切。自分がどうその場を生きていったらよいか真剣に考えることが大切だと親が分かっていること。

④ 共感と指導の違い
赤面恐怖症の延長線上に視線恐怖症⇒箱庭療法で

⑤ 親が人として生きること

自分のしたいことも我慢して、「あんたのために」と言われるのは子どもは重いと感じる。

⑥ 「神様はいますか?」(田口ランディ著)の話

もし子供がこの問いをしてきた時どう答える?

・神様はいるの? ・死んだらすべてはおわりなの?

・人と人は分かり合えるの?⇒分かり合えない経験をした後できく

・友達って何なの? ・魂は存在するの?・私の体は私のものなの?

・動物と人間はどこがちがうの?・どうやったら大人になれるの?

・愛で世界は救える? ・奇跡はある?・人生は生きるに値しますか? など 

 こんな話の中で、互いの思いの交換をしていく。子どもの悩みが表れてくる。

⑦ おすすめゲーム

頭を使うゲーム・どんなスリリングな抜きができるかを褒め合うゲーム(勝ち負けじゃな

いが終わり方が豪快でスカッとする)ゲーム・ 終わりが予測できないゲーム・取り合いゲームなど。

⑨絵から見る「心の窓」

川:感情。あふれていると感情の表出が激しい。

道:進む道。(切れていたら途絶えている)

家:人が背を向けて立っていたら無関心

向こう岸にいる猫:本人

⑩ 犬を飼う⇒不登校の子どもにとって大事

                           






 

更新情報

R4.3.16
令和4年度神戸市教員採用候補者事前セミナー
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