第3回講演会(令和3年度 講演記録)

日 時  令和3年10月29日(金)  10:00~11:45
場 所  神戸市総合教育センター 10階ホール
演 題  「発達の不安な子どもの未来に向けて家庭でできること~声かけと言葉の力~」
講 師  裕木 晶子 氏 
      『発達障害の子るーくんとお母さんのマンガ子育て日記』
      『発達障害の子るーくんとお母さんのマンガ子育て日記2 成長編』著者
参加者数 133名

講演概要
 ①はじめに 自己紹介 
   我が子は、5歳の時、神経発達症の診断を受けた。
   戸惑い、受け入れがたく、どうすればよいのかと・・。
   このままでは、いけない。何とか立て直したいと考え方を変えた。
   今日は、私の経験の一端をお話しさせていただき、何か一つでもみなさんのお役に
     たてることがあればと思っている。歯が悪くなれば歯科へ、目の調子が悪ければ眼科へ
    行く。同じように神経発達症の子は、支援を受けることが、当たり前になってほしいと
     願っている。
 ② 子どもが社会(学校)で過ごしやすくなるために
  こだわりの強い子、支援のいる子と、どうしたらよいかわからない親、こだわりのある親
  その子に合わない声かけをしてしまう親が衝突し、うまくいかない状態。
 →このままでは親子でつぶれてしまう!!
 →やわらかく考える親、その子に合った声かけを見つけていく親になろう。子どもに寄り
 添って。
 →子どもに合った支援、声掛けを続けていくと心が落ちつき、前に進めることが増えて
 いった。
 ③ 未来に向けて家庭でできること
  子どもの生きづらさを理解する。
  どんな小さなことでもほめていく。心の安定、自信につなげる。
  支援しやすい子(声をかけやすい子)に=社会参加しやすくなる
  身の回りのことができるように(身だしなみ、あいさつ) ありがとうは特に大切。
  学習・生活ルールをその子にあったやり方、ペースで教えていく。
  その子の成長に合わせたソーシャルスキルを育てる。
  家庭だけでしんどくなったら、プロの力も借りていく。
  家はホッとできるオアシス、自分のままでいられる場所
 ④ 周りから支援しやすい子(声をかけやすい子)
  「素直に『ありがとう』と言える子」「清潔な子」「機嫌よく過ごしている子」
  →周りも接しやすくなる。朝、機嫌良く送り出す。
  困った時「困った」「教えて」と言える子→社会人になった時、特に大切
  周りを風通しよくする。  
  周りにふんわり伝えておく。

 ⑤ 声かけと言葉の力(子どもの心を動かす)
  子どもを動かすというより、子どもの心を動かす。
  子育ては、怒るのが一番簡単で、あたたかい声かけがなかなか難しい。
  子どもに合った声かけを続けていくと心が安定し、指示や提案が素直に入りやすくなっ
 ていく。
  怒るエネルギーを子どもに合った声かけをみつけるエネルギーに変換する。
 ⑥ 声かけと言葉の力(あたたかい言葉の力)
  あたたかい言葉は心の栄養。(「大好きよ」「よく頑張ったね」)
  共感し寄り添う。
  話しかけてきたら、できるだけ耳を傾けた。
  発達の不安な子ども達には負の言葉が何倍にもなって心に残り、心を傷つけてしまうの 
 では?と感じている。
 ⑦ 宿題・学習(家でよかったこと)
  つらい思いをしながら宿題をしても、なかなか身につかない。
  →できることからしよう。小さな積み重ねが大事。小さな小さなちりも積もるよ!
  学習は苦しいものではなく、生きていく上で大切なものだと伝えていった。
  (毎日の生活の中で看板や標識を理解したり、本を読んだり、買い物をしたり・・。)
 ⑧ 生活・社会ルール
  発達の不安な子ども達は、指示・情報を受けることがとても困難。口頭だけでは分かり
 にくいことがある。
  目から入る情報が分かりやすいのでシュミレーションしたり、絵カードで説明していく。
 ⑨ 生活・社会ルール(家でしてよかったこと)
  発達の不安な子ども達の中には、毎日の生活だけでいっぱいいっぱいの子もいる。
  いつもとすることが変わると、不安になったり、機嫌が悪くなったりする。ガス抜きできる
 場所や好きな食べ物を準備した。
  生活・社会ルールを何度も何度も根気よく教えていくことで、定着させ、習慣づけていく。
  →成長とともに少しずついろいろなことができるようになっていく。
 ⑩ 子どもの気持ち
   大人は自分でストレス発散の方法を見つけることができるが、子どもはその方法を
  知らない。子どもに合ったストレス発散方法を大人が提案したり、準備をする。成長とと
  もに自分でストレス発散の方法を見つける子もいる。
 ⑪ 親の気持ち(あるある)
   負の感情ばかりで、疲れる・・・ そこで
   子どもが、今、できていることを褒め、自信をもたせ、その子のペースで少しずつできる
  ことを増やしていく。
   過度な期待はしない。しかし、子どもの特性や良さを見つけ伸ばしていく。希望を持
  つ。
   どんな小さなことでも褒めていく。子どもが前向きな気持ちになれるようにする。やる気
  が出る。
  こだわりは成長とともに、和らぐこともある。こだわりのおかげでうまくいくこともある。
  しんどくなったら、信頼できる人にグチを聞いてもらう。
  しっかり、心の休みをとる。親は親で趣味や好きなことをする。

 ⑫ 思春期に家庭でしてよかったこと
   (学習)学習は難しくなり、自信をなくし、やる気をなくすことがよくあった。「できることか
  らしていこう」と声をかけ続けた。
  基本中の基本の学習だけでもしていくと、形になっていった。
  家庭で教えるときは、命令口調にならないようにした。
  家庭で教えるよりも、少人数やマンツーマンの塾の方がうまくいくこともあった。
  (心・ストレス・成長)中学生の時は、毎日の生活だけでクタクタ。
  ストレス発散のためにサンドバックを買った。あるだけで安心しているようだった。
  イライラしていたら、放って置くこともあった。そっとしておき、時間が経つと心が落ち着い 
 てきた。そして感情的にならないようにさらっと対応した。
  グチを聞く。ザルでもいい。アドバイスが嫌なら相槌を打つだけでもいい。
  すぐに傷つき、自信をなくしやすかった。子どもの良いところを伝え続けた。
  思春期はあっさり褒めるほうがうまくいった。今、できていることを言うだけでも自信にな
 るようだった。
  (進路)情報収集をしていく。
  アンテナを張って情報収集。未来への選択肢も知り、対策することができた。
  実際に足を運んで学校の雰囲気を感じることが大切だと思った。
 ⑬ 未来に向けて
   今はまだ全く想像できなくても、少し先の未来(5年先、10年先の未来)をふんわりと
  想像してみる。そうすると何をすればよいのか、何が必要なのか見えてくることがあっ
  た。  
   命令口調や叱責よりも、楽しい言葉の方が子どもは耳を傾けた。思春期に入ると「もう
  普通に言ってくれたら、いいから。僕は子どもじゃないから。大丈夫だから」と言われ
  てしまった。成長を感じたことを覚えている。今はサラッとあたたかい声かけにしている。

    
   
                                                  

 

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