| 海辺の草たち |
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乾燥した海辺で潮風にさらされ、塩分を含んだ水しぶきを浴び、砂に埋もれても生き延びられる海岸植物を紹介します。
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写真331、須磨浦岸の植物
5月、須磨浦 |
写真332、ハマヒルガオ
5月、須磨浦 |
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■須磨浦海岸の植物
「山、海へ行く」の土砂を船に積むベルトコンベァ(belt conveyor)の施設のため、まわりを鉄柵で囲んだので、コウボウムギやハマヒルガオの群落が広く残り、阪神間でただ一ヶ所、貴重な海辺の植物群落が残り続けました(写真331)。
■ハマヒルガオ
漁具の物置やのりタンクのまわりに砂が吹き寄せられ、人の踏みつけも少ない場所ではハマヒルガオがピンクの花を散りばめ咲き乱れています(写真332)。
ヒルガオ科の多年草で、葉は海辺の植物らしく、厚くてつやがあります。
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写真333、ハマゴウ
7月、須磨浦 |
写真334、ハマゴウの花
8月、須磨浦 |
写真335、台風の後のハマゴウ
10月、須磨浦 |
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■ハマゴウ
JR線の石垣の足元で、前方の水際がテトラポット(tetra pod)で守られた、狭い砂浜で生き延びているのはハマゴウです(写真333)。
合弁花、クマツヅラ科の落葉低木で、葉は対生につきます。花は淡紫色、口びる型、さきが大小5つに裂けています(写真334)
1991年9月30日の台風19号ですっかり葉をなくしましたので、早めの冬を迎えました。それで地上を這う枝や下ろした根の様子がよく分かります(写真335)
その前の年には、海辺での火の不始末から多くが焼き払われ、2度も災難を受けましたが、しぶとく、たくましく生き続けていました。しかし、2005年5月、再び現場を訪れたところ、2004年秋の3度に及ぶ台風と高潮に襲われ、群落は根こそぎ剥ぎ取られて跡形なく、ハマゴウは京阪神の海辺から完全に消滅しました。
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写真336、ハマエンドウ
5月、須磨浦 |
写真337、ハマエンドウの果実
5月、須磨浦 |
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■ハマエンドウ
畑のエンドウ、庭のスイートピーそっくりの花といえば、マメ科とすぐ分かります。これは、柵の外でJR線の石垣の足元に吹き寄せられた小さな砂丘のうえで生えているものです(写真336)。
豆果(とうか:さやになった果実)はまるでサヤエンドウです(写真337)。
ふた昔前なら海辺にふつうの植物でしたが、今や阪神の海辺に限ればレッドデータ(red data)ものです。大事に見守ってやりましょう。
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写真338、ハマダイコン
5月、須磨浦 |
写真339、ハマダイコンの実
5月、塩屋海岸 |
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■ハマダイコン
花びらは4枚のアブラナ科の越年草です。古く地中海地方から伝わったとされるダイコンが野生化したものと言われます(写真338)。
それなら海を離れた内陸部の農業地域にあってもよいでしょうが、名のとおり海岸部にしか見られません。
このハマダイコンを肥料をやって育てたら、ダイコンに先祖返りするでしょうか。また、ダイコンの種を海辺蒔いたらハマダイコンに戻るでしょうか。ダイコン自身は人の技術で作ったものです。
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写真340、オカヒジキ
6月、須磨浦 |
写真341、ツルナ
6月、須磨浦 |
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■オカヒジキ
アカザ科の1年草で、釘(くぎ)のような太さの多肉質の葉をつけて乾燥に耐えます(写真340)。
海草やゴミが打ち上げられて、水辺と平行に帯状になった前浜によく生えます。
■ツルナ
海岸の砂地やときに海岸に近い国道2号線の道ばたに見ることもあります。
葉は柔らかくても、ぶ厚いところは海岸植物の特色です。ザクロソウ科の多年草です(写真341)。
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写真342、ハマボウフウ
6月、須磨浦 |
写真343、ハマウド
12月、舞子 |
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■ハマボウフウ
神戸の海岸から姿を消したとされるハマボウフウですが、「どっこい、生きてるよ」といいたそうにコウボウムギやハマヒルガオにまじって2004年現在も残っています(写真342)。
セリ科の多年草で、長くて力強い根で海辺の環境に適応しています。
淡路や但馬の海岸ではまだ残っていますが、近畿ではred data bookに載せられています。
■ハマウド
1991年までは須磨浦にも残っていたのですが、その後、消えてしまいました。
高さ1.7mほどにもなるセリ科の多年草で、羽状の大きな葉は「ギラギラ」と光をはね返して海辺の植物らしさにあふれ、オニウドともいわれます(写真343)。
写真のは、夏を送った親株の根元から、冬を越して春を待つ若葉です。
なにか工事がせまっています。いつまで生き残れるやら。
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写真344、コウボウムギ
6月、須磨浦 |
写真345、コウボウムギ雄株
4月、須磨浦通5 |
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■コウボウムギ
カヤツリグサ科の多年草で、雌雄は別の株になっています。太短いムギのような穂は雌株で、フデクサともいいます(写真344)。
一方、たくさんの葯(やく、花粉の入った袋)をつけ、短いトゲか毛のような集まりは雄花だけをつけた株です(写真345)。
地下茎は深いところで、長く伸び、地上部が砂で埋まっても根茎の節から地上茎を立ち上げて砂を乗り越え、緑を回復させます。
ですから、砂浜地域にとっては砂防林のような役目をする大切な植生です。
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■コウボウシバ
これもカヤツリグサ科の多年草で、砂浜植物のひとつです。こちらは雌雄の花は別々ですが、同じ一つの株につけます。細長い穂は雄花、ヒエのような実をいっぱいつけたのが雌花です(写真346)。
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