神戸の自然シリーズ20 神戸の淡水魚 原著
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10.イトモロコ (コイ科)

 魚の中には、人間と同じように気の強いものもいれば、弱いものもいる。話題を独占するものもいれば、目立たずにいるのかいないのかわからない地味な魚もいる。このイトモロコはどちらかといえば忘れられた存在の魚といえるかもしれない。川の中流から下流の流れのゆるやかな底の方に好んですむ。ふだんは小さい群れをつくって泳ぐ。

 全長8cm前後で、口にはやや長いひげがはえていて、頭部と背部には網目のような暗い斑点がある。側線上の鱗は、黒みがかっていて、太い一本の線に見える。

 産卵期は5〜6月ごろで、砂泥底に産卵する。婚姻色は、雄・雌ともにあらわれない。

 底にいる小動物のほかに石などについている藻類も食べる。

 西日本に多く、木曽川水系以西、四国の一部、北九州に分布する。

 神戸市では、わずかに明石川の一
部で見つかっているだけである。めったにとれず、ひっそりと生息しているのだろう。

 水槽で飼育すると、他のおとなしい魚類と同居して、争いもせずにうまく共存している。底の方を静かに泳いでいる。


Sgualidus gracilis (TEMMINCK et SCHLEGEL)
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