神戸の自然シリーズ3 神戸のシダ
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 オサシダ
−岩場に生え、緑をそえるシダである−(7月)


 六甲山地に生えるシダを代表するものの一つである。

 日本の各地にかなり広く分布するが、普通によく見かけるというシダではない。西六甲の比較的高いところに自生地があるが、東六甲では頂上近くから、かなり低いところまで分布し、群生地もある。

 このオサシダは、低山地にも普通に見られるシシガシラと非常によく似ているので、なれないと両者の区別はつきにくいが、根もとに注意すると、すぐわかる。

 シシガシラは、根茎は太短く、斜めか、直立し、葉を車座につけているのに、オサシダの根茎は岩や土の上をはっていて、葉は垂れ下がり気味である。

 根茎葉柄基部の鱗片をみると、シシガシラでは細長く、暗褐色であるが、オサシダでほ、うすい褐色で幅が広い。

 このなかまにほ、もう一種ミヤマシシガシラがあって、この3つのシダを表にして比較しよう。

ミヤマシシガシラ オサシダ シシガシラ
生態 ・温帯林下の排水のよい傾斜地に自生する
・通風もよく直射日光のあたらないところに自生する
・兵庫県での垂直分布900〜1,200m
・排水のよい山地の岩上,または地上に生じる
・向陽地にも自生する
・500〜900m(六甲山で)
・低山地から高山の林下にかけて普通に生じる
・やや乾燥地に多く生じる
・30〜1,900m










・濃い緑
・暗紫褐色または赤褐色
・淡緑色
・褐色〜赤褐色
・オサシダよりやや濃い緑
・黄褐色

・短く匍匐する(斜上型) ・長く匍匐するものがある ・短く斜上,または直立型








・線形・皮針形で細くとがる
・3〜5mm,暗紫褐色
葉柄基部にややまばらにつく
・皮針形,卵状披針形
・5〜8mm,褐色
葉柄基部に卵状のものがまばらにつく
・線形で細くとがる
・10〜15mm,褐色〜暗褐色
中軸,葉の裏面までかなり多くつく



・幅広く4〜7mm
・先端ほまるく純頭
・基部は中軸に広くなってつく
・下部羽片中軸に広く合着する
・幅せまく2〜4mm
・先端はまるく純頭
・前側が広くなってつく
・下部羽片中軸に広く合着する
・オサシダのみ完全に羽片が独立する

・先端は純頭または鋭頭
・前側が広くなってつく
・下部羽片中軸に広く合着する

羽片中肋は表面に浅いみぞがはっきりみられ,裏面も隆起する 羽片中肋は表面にみぞがみられず裏面も隆起しない ・ミヤマシシガシラに同じ

胞子葉より短いが幅は広い 胞子葉より短いが幅は広い 胞子葉より短いが幅は広い

中軸にかけて多くの細点がみられ,葉柄は長い ・かなり長い ・かなり短い



・上向きにつき一方向にまがる 栄養葉より幅が狭いのでまばらにつくように見える 栄養葉より幅が狭いのでまばらにつくように見える



羽片中肋に平行して1列にならび包膜中肋に向って開く
・外側にはごくわずかな辺縁がつく
羽片中肋に平行して1列にならび包膜中肋に向って開く
包膜と同じ幅の辺縁がつく
羽片中肋に平行して1列にならび包膜中肋に向って開く
包膜の幅の半分ほどの辺縁がつく

栄養葉よりかなり長い,2倍近いものもある 栄養葉より長い 栄養葉より長い

・長く13cmぐらいになる(長いもの18cm) ・かなり長い(平均6cm) ・下部羽片がとげ状になってかなり下までつくので短い
分布 ・日本特産
・本州(東北・関東北部・北陸・山陰)
・(兵庫県)氷の山・扇の山・上山高原
・日本特産
・九州・四国・本州
・(兵庫県)六甲山・小金が岳・笠形山・霧が滝・栃原・河原谷
・日本特産
・北海道から九州・屋久島まで
・(兵庫県)広く分布する

 三つのシダに共通する特徴としては、表からもわかるが、次のことがあげられる。
  1. 常緑性のシダである。
  2. 実葉裸葉の二形になる。
  3. 胞子のう群のつく実葉羽片の幅が狭く、胞子のう群より外側の部分は葉脈が発達しない。
  4. 胞子のう群は、羽片中肋に平行して一列につく。
  5. 羽片は、くしの歯状に深裂または全裂する。
 日本でほ、屋久島から南、沖縄にかけて広く分布しているヒリュウシダとは、葉が著しく二形になることで、属を分ける学者と一つのヒリュウシダ属にまとめる学者とがある。

 オサシダは風化のはげしい六甲山にあって、岩場やその近くの地面に生え、山に緑をそえると同時に、必死に岩面の崩れを防いでいるシダのようだ。

葉身の分枝と切れこみ
二又分枝…ヤブレガサウラボシ
羽状分枝…大部分のシダは羽状に分枝した羽状葉である
ヤブレガサウラボシ マツバラン

  1. 単葉
     葉の羽片の分かれないもの、ノキシノブ・へラシタ・クリハラン
  2. 単羽状複葉
     葉柄の延長の中軸の両側に、単葉状の葉片がならんだようなもの、ヤブソテツ・タマシタ・ミゾシタ
  3. 二回羽状複葉
     中軸から羽軸が分かれ、羽軸の両側に単葉状の葉片(小羽片)がならんだようなもの、ペニシタ・ヒロハイヌワラビ・シロヤマシタ
  4. 三回羽状複葉
     二回羽状複葉小羽片がさらに羽状複葉になったもの、ヌリワラビ、オニカナワラビ・オオカナワラビ、きらにもう一回切れこめば四回羽状複葉といい、五回羽状複葉まである。

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