神戸の自然シリーズ原著を使った研究授業 神戸の自然シリーズ 神戸の大地のなりたちと自然の歴史

 原著そのものの授業利用の可能性をさぐるため、神戸の自然シリーズの「地層」に関する原著のページを使って2回授業をしてみた。授業は授業者の指導案のもとに計画的に行われが、ここでは生徒たちの反応を中心に記録しておく。

■「神戸の地層を読む2」を使った授業

  1. 実施校
     神戸市立渚中学校 1年生
  2. 取材日時
     平成14年2月19日(火) 13:10〜14:00
  3. 場所
     コンピュータ教室、図書室
  「神戸の地層を読む2」の原著のページをCD-ROMに焼き付けたものを使った。地層の学習が終わった後の3年生のまとめとしての位置づけと、一度も地層関係の授業をしたことのない1年生の導入としての位置づけでCD-ROMを利用し、その効果を比較してみた。方法は、自由にCD-ROMを見せ、興味を持ったことについて内容を読み、感想を書かせるといったものである。一クラスを半分にわけ、交代でコンピュータ教室でCD-ROMを見せた。CD-ROMを見ない半分は、向かいにある図書室で、教科書等を使って、背景となる知識の整理を行った。


●授業風景
 コンピュータ教室でのはじめの指導  CD-ROMを見る
 興味を持ったところを中心に自分で簡単にまとめ感想を書く。

 待機中の半数は図書室で教科書等を使って背景となる知識を整理する。

●生徒の感想文から引用
 地層の学習後まとめとしてCD-ROMを利用した3年生

  • ふつう地層といえば川の流れによって運ばれた砂や泥が固まってできるものだと考えられますが、有馬層群はそうではないということが分かりました。...(中略)...火山の活動による物質からできているのが有馬層群です。ですから地層としてあつかわないで火成岩として考えてもよいものだということも分かりました。
     
  • 地層の現代版ともいえる沖積層はどんなところで見られるだろうか。それは現在の海だ。海に運ばれてきた砂や泥が神戸港の沖では30cmもたまっている。ポートアイランドの水面下23mに見られた写真を見て、地層というのは、古生代や中生代などの大昔にしかできないと思っていたが、つい最近(一万年前〜現在)のものも見ることができることが分かり、驚いた。
     
  • 海岸近くの低地であったところに堆積物がたまり平坦な土地ができました。その平坦な土地が現在陸上に現れている部分が海岸段丘です。私たちは今でこそ何気なく、無意識にふつうの平地をあるいていますが、こういう平地ができるまでには、氷期などの時代に地層が動いたり、さまざまな変化を続けた結果だと思います。垂水、舞子の海岸沿いに見られる段丘は、典型的な海岸段丘です。
 以上の例のように、地層の学習を終えた3年生は、地元の地質について非常に興味を持ち、授業で習ったこと以上に発展的な理解を深め、学習した知識を身近な問題に生かすことができたように思われる。

 まったく授業で地層を学習していない時に導入として利用した1年生

  • 微化石で地球の環境を知ることができるらしい。
  • 北区や西区は近いので本物の地層を一度見てみたい。
  • 日本にもゾウがいたことに感動した。
  • 何がどうやって100mもつきあげたのだろう。
  • 神戸に湖があったのに驚いた。
 1年生の感想文は総じて短いものであったが、これから学習する地層のキーポイントを、自らの関心で見いだしているように感じた。元来学習のポイントとはその学習内容中もっとも興味深いところでもあるはずである。このように、導入において、興味関心とともに学習のポイントが意識されれば、その後の学習効果が上がることが期待できよう。


■「アカシ象発掘記」を使った授業

  1. 実施校
     神戸市立渚中学校 2年生
  2. 日時
     平成14年11月13日 11:40〜12:30
  3. 場所
     普通教室、コンピューター室
 地層をつくる岩石とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と年代を推測することを目的とする。アケボノ象の化石を1頭分掘った記録を読むことで、大地は長い時間と広い空間の中で変化している事を知らせたいと考えた。比較教材として、近隣の神戸市立王子動物園のアジア象の生活のようすを参考にした。現在のゾウの骨格や、化石として残りやすい歯などの映像資料は、化石ゾウに対する理解を深めるものと思われる。そしてアケボノ象の化石では、歯と象牙に注目させて、理解を深めたい。
 授業は教室で簡単な説明をした後、コンピュータ室でCD-ROMを見せた。

●資料として配布したゾウの写真
 神戸市立王子動物園のゾウ。資料としてはこのほかに骨格標本や一日の食事の写真があったが、これは同動物園の展示物のため掲載は割愛した。

●授業の風景
 普通教室でポイントを説明する

 コンピュータ教室での活動

●生徒感想文からの引用

  • その化石で、その時代やそのころの環境やようすなど、そんなにたくさんのことが分かるなんてすごいです。
  • アカシ象はだいぶん深いところに埋まっていたということが、等深線図から分かりました。
  • ゾウの化石を掘ることにあそこまで頑張れるのはすごいと思った。
  • 発掘作業は思っていたよりもずっと複雑で重たい物を運ぶ工夫、骨を傷つけないようにすつ工夫等がたくさんあり、作業をしている人たちは本当に化石や発掘作業が好きなんだなぁということがよく伝わってきました。
 現在のゾウとの類似点をもとに、化石のゾウが生きていた当時の状況まで思いをめぐらせるには時間が足りなかったようで、これには画面を印刷するなどしてさらに深く考えさせる必要があったかもしれない。しかし、短時間にもかかわらず、情報の内容はつかんでおり、興味をもって画面を検索していたすがたは印象的であった。
 上の「神戸の地層を読む2」の例でもあったように、地元の事物に対する関心の高さには共通なものがあり、改めて地域教材の重要性が感じられたとともに、教科学習の中にこれを位置づけることで、知識が活きるものと思われる。