新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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1-1-4.帝釈・丹生山地と北区の田園地帯

 六甲山の背後に広がる北区の田園地帯と帝釈・丹生山地,および淡河川,志染川(山田川)などの加古川水系の流域は,西区や垂水区とちがって,山間の田園のふんいきがあります.また帝釈・丹生山地は500m級の山々ですが,いくつかの湿原が残されていて,神戸市ではすてがたいトンボの生息環境があります.

 まず,帝釈・丹生山地の湿原に生息するハッチョウトンボサラサヤンマエゾトンボが特筆すべきものでしょう.いずれも決して数は多くありません.また淡河町には,キイロサナエヤマサナエアオサナエホンサナエオジロサナエコオニヤンマなどのサナエトンボ類をはじめ,コヤマトンボオオカワトンボグンバイトンボなど,河川の中流域に生息するトンボがまだみられます.河川の中流域はもっとも自然環境が改変されやすいところですが,これら中流域にすむトンボがまだ細々と残っている点は非常に貴重だといえます.ため池にすむトンボは西区と共通するものが多いようですが,オオイトトンボはこの地域に多くみられます.


1-1-5.武庫川と道場付近

 神戸でいちばん欠けているのは,大河川の中・下流域という水環境でしょう.しかし,北区道場町にごく一部ですが武庫川が流れています.この本流,および武庫川水系の有馬川,有野川,船坂川,波豆川には,やはり他とは少しちがうトンボがみられます.また,道場町には湿原が残っています.

 この付近にはグンバイトンボオナガサナエがすみついています.ヤマサナエオジロサナエコオニヤンマの個体数もかなり多く,ハグロトンボもいます.キイロヤマトンボの記録があるのもここです.また場所ははっきりしませんが,この付近で過去にはアオハダトンボが記録されています.ホンサナエアオサナエという中流域のトンボも健在です.湿原ではハッチョウトンボが群れ飛んでいて,サラサヤンマエゾトンボハネビロエゾトンボオニヤンマがみられます.また湿原へ通じる道の途中には水がしみ出しているところがあって,ムカシヤンマがひっそりとくらしています.

 以上神戸のトンボのすみかをおおざっぱに説明しました.このように紹介するとたくさんのトンボがいるようにみえますが,神戸のトンボたちも数が減っていて,かなり「熟練」しないとすべてのトンボと出会うことはできません.私の子どもの1960年代はじめころは,現在新神戸駅があるあたりの生田川でも,夕方無数のギンヤンマが飛び交い,ぶりという道具をつかってそれを採ったのを覚えていますが,現在はそういう場所はなくなってしまいました.

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