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(1-2.神戸で見られなくなったトンボたち の続き)
さて次は,過去にははっきりと定着していたことをうかがわせる記録があるのに,最近ほとんどといってよいほどみられなくなってしまったトンボたちです.ベッコウトンボ,ミヤマアカネ,マダラナニワトンボ,オオキトンボの4種類がそれです.
ベッコウトンボは神戸では西区櫨谷町で1991年に発見され,その後何世代かくり返しましたが,1995年のオス数頭の目撃を最後に姿を消しました.発見されたときの個体数の多さから思うと,これより以前の記録が見あたらないのが不思議です.これが姿を消した原因ははっきりしています.ベッコウトンボは自らの生息地を非常に厳しく選ぶトンボで,市内ではたった1ヶ所の池でのみ幼虫が育っていました.この池が,1994年の猛暑で干上がり,さらに翌1995年の兵庫県南部地震で壊れて改修工事がほどこされました.2年続きの災難はさすがにこたえたようで,ベッコウトンボは姿を消してしまいました.
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| 写真1-12.1991年に神戸で発見されたベッコウトンボ.西区櫨谷町. |
写真1-13.1997年に久々に発見されたミヤマアカネ.東灘区本山町. |
ミヤマアカネは1960年代に裏六甲一帯の,有野町,有馬口,有馬温泉などでいずれも「多数」という記録が残されています.私も1971年に,神戸電鉄谷上駅前の水田で,このトンボがたくさん飛びまわっているのをみました.当時浪人生であった私のあこがれのトンボで,えらく興奮して帰路についたのを今でもはっきり覚えています.その当時の谷上駅は,周辺に農家と田んぼがあるだけで,のどかないなかの駅という感じでした.北神急行が開通し,発展した現在からは想像もつきません.
しばらくのブランクの後1988年にミヤマアカネを求めてふたたび谷上にやってきたときには,完全にその姿が消えていました.その後各記録地を転々としましたが,この10年間でオス1頭を裏六甲の茶園谷で,メス1頭を東灘区本山町で採集しただけで,他には十亀静彦氏が六甲山町のかわうそ池で,伊藤時雄氏が道場町で,二宗誠治氏が住吉川で発見しているだけです.
この種は幼虫が流れを好みます.裏六甲の各記録は,志染川(山田川)や有野川,およびそこへ六甲山から流れ込む細流,またふもとの水田の用水路などで繁殖していたのではないかと思われます.これらの流れがコンクリート化されたり,いちじるしく汚染されたりすると,この種は数を減らしていきます.なお,神戸市周辺では,西宮市や芦屋市でまだこのトンボがみられるところが残っています.
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| (次ページに続く) |