新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
  前ページへ 目次へ 次ページへ
82.キトンボ Sympetrum croceolum
写真2-97.キトンボ.東灘区岡本.1986.10.4. オスの静止.(近藤祥子氏撮影)


分布:神戸では過去に市内に広く採集記録があり,かつてはかなりあちこちでみられたものと思われます.しかし1988年以降,神戸市内で筆者のみたキトンボの成虫の数はわずか7頭で,現在毎年確実に本種が繁殖をくり返している池はないようです.記録は,北区有馬町,山の街,西区押部谷町,櫨谷町,伊川谷町,須磨区多井畑,妙法寺町,長田区鹿松町,灘区六甲山町,東灘区岡本というのがあります.

生態:揖保川町での観察によると,6月23日には終齢幼虫を,7月15,18,24日には終齢幼虫と羽化殻を,7月15日に羽化直後の成虫をみたことがあるので,羽化は7月中旬ころから始まると考えられます.羽化した個体はいったん山の中に入るものと思われますが,その生態は不明です.本種が目につかないのはおそらくこの時期に山地に広く分散して生活しているためと思われます.10月に入ると池にあらわれ,ときどき停止飛翔をしながら岸に位置を占めて縄張りを形成します.産卵は特徴的で,連結状態で岸の方に向きいったん打水します.そして体勢を立て直してから次に,岸の泥面に腹端を打ちつけて卵を産みつけます.これを一定のリズムでくり返します.産卵を終えると連結が解かれ,メスは一気に垂直上昇します.そして付近にいたオスたちはこのメスを中心に円を描くように後を追いかけますが,メスはみえなくなるほど高く上昇しオスをふりはらいます.

形態:腹長21〜29mm.翅の前縁部とつけ根から半分くらいまでが黄色に色づきます.胸や腹部には斑紋がほとんどなく,黄かっ色をしています.オオキトンボににていますが,オオキトンボは翅全体がうすく黄色に色づき,区別できます.

前ページへ 目次へ 次ページへ