新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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84.ネキトンボ Sympetrum speciosum speciosum
写真2-99.ネキトンボ.北区山田町.1992.9.5. オスの静止.(岡本洋一氏撮影)


分布:神戸においては本種は市街地をのぞいて広く分布しているといえます.標高も平地から山地までとくに選ぶことはないようです.記録は北区道場町,有野町,山田町,山の街,西区押部谷町,櫨谷町,伊川谷町,垂水区名谷町,須磨区多井畑,妙法寺町,長田区鹿松町,灘区六甲山町,東灘区岡本,本山町などがあります.

生態:市内での出現時期はおおむね6〜10月です.筆者は,1990年7月20日櫨谷町寺谷においてすでに産卵をみていますので,アカネ属の中ではかなり成熟するのがはやい種であるといえそうです.また一方,六甲山町の池ではこの時期にまだ終齢幼虫が多数見られ,採集した幼虫の自宅羽化の記録から,7月に羽化する個体が多いと考えられます.ここでは8月22日にも羽化をみていますので,羽化期間はかなり長期にわたっていると思います.成熟して池にすがたをあらわすのは他のアカネ属より少々早く,8月の中〜下旬にはだいたい各地で成熟した真っ赤なオスが観察できます.他のアカネ属に比べて前生殖期が短い種であるように思えます.成虫は高い木の天辺や電線に止まる性質があって,須磨区多井畑では広場のイチョウなどの樹木の,一番高い梢に止まっているのをよく観察しました.開けた水面に連結打水産卵をしますが,単独打水産卵を観察したこともあります.その際,そこにはコカナダモタヌキモなどの沈水植物や浮遊植物が繁茂している場合が多いようです.六甲山町の池では幼虫はタヌキモなどの生きた藻の中に潜っていました.泥に潜る性質があるかどうかについてはわかりません.卵期間は15日という報告があり,本種は幼虫で冬を越していると思われます.

形態:腹長24〜28mm.翅の基部だけがオレンジ色をしており,その独特の色彩から,他種とみまちがうことはありません.

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