新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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89.ウスバキトンボ Pantala flavescens
写真2-102.ウスバキトンボ.灘区六甲山町.1997.8.30. 休息するメス.


分布:このトンボは熱帯・亜熱帯を中心に,高緯度地方をのぞいて世界中に分布しています.また太平洋など海洋をわたって長距離移動するトンボとして有名です.沖の鳥島という,太平洋上の猫の額ほどしかない岩礁でとれたトンボを同定したことがありますがこれも本種でした.神戸では各地ですがたをみることができます.記録は,北区道場町,有野町,淡河町,山田町, 西区押部谷町,玉津町水谷,櫨谷町,伊川谷町,下畑町,美賀多台,垂水区名谷町,須磨区多井畑,妙法寺町,長田区鹿松町,中央区港島中町,加納町,灘区六甲山町,東灘区向洋町,御影石町などがあります.

生態:神戸では,4月下旬に南から飛来したと思われる少数の個体(第一世代)を毎年のようにみかけます.卵期間,幼虫期間は,それぞれ5日,34日という記録があり,産卵後約一月半で次の世代が羽化してきます.したがって,第二世代は6月中〜下旬ころに羽化してあちこちで飛びまわるようになります.第三世代の羽化は8月のお盆の前後になり,このときには数が非常に増えて,グランドや野球場,公園で群れをみることがよくあります.第四世代は計算上は10月下旬くらいの羽化になりますが,すでに気温の低下が影響して羽化できない個体が多くなり,わずかに未熟な個体が発見されるという程度になります.幼虫はふつうのため池にはみられず,筆者は,水田,都市公園の池,学校のプールのほか,しばらく干上がったあとに水がたまったため池でも採集しています.いずれも他の生物群集が貧弱なところで,しかし数は非常に多くいるという特徴があります.開けた水面に打水産卵をおこないます.幼虫は神戸では冬を越せず死に絶えてしまいます.

形態:腹長27〜32mm.大群がよくアキアカネと誤認されますが,腹部の腹面に複雑なもようがあり,ひとまわり大きく,よく観察するとまちがうことはありません.

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