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4.トンボの名前を調べよう |
4-1.この本を使ったトンボの名前の調べ方
ここでは,神戸市のトンボだけでなく,兵庫県で記録されたトンボについて,その名前を調べることができるようになっています.本書に載っていない種・亜種・型が分布するような県で使用するとまちがえることがありますので注意してください(リスト参照).
種を確定する(同定という)には本来,検索表というものを使って調べていくのですが,ここでは初心者の方でもできるように,絵合わせを中心とした方法を紹介するにとどめます.さらに専門的に調べたい方には本書だけでは不十分です.トンボの種名検索のためには良い解説書が出ています(たとえば文献番号,62,67,68,69,70).それらには種ごとの区別点が記されており,それをていねいに調べていけば典型的な特徴を持つ個体については同定ができるようになっています.
本書を利用されるみなさんにお願いしておきたいことがあります.昆虫をはじめ,生き物の名前を確定することは,本当はとても難しいことなのです.生物には個体変異というのがあって,同じ種でも,遺伝子の持ち方や,育った環境によって微妙にその形態が異なってくるものがあり,実際上判断に迷ってしまうことがあるのがふつうです.したがって,調べた結果,はっきり分からなかったときには,何々のなかま,ということにしておく姿勢をもってください.これが新しい発見をうむきっかけになることもあります.
この本でも,とくに幼虫について,筆者が日頃から同定が困難であると感じているものについて,はっきりとそのことを示しています.これらのトンボ幼虫の区別については,みなさんがこれから研究して,ぜひ,よい区別点をみつけてください.ただ幼虫については「羽化させる」という最後の手段が残っていることも覚えておいてください.ルーペは必需品です.
幼虫の解説ページには体長(尾さいや肛錐の長さはふくみ触角はふくまない),主な生活環境,その種の特徴が記されていて,類似種とその種の区別の決め手になるような特徴には下線が引いてあります.なお記述中,腹部の節数について述べるときには「腹部第×節」とせず単に「第×節」としてあります.
4-1-1.成虫の名前を調べる手順
- 科の検索表を使って,図版も参考にしながら,それがどの科に属するかを調べます.
- その科の図版のページをみて絵合わせによって名前を調べます.種によっては,似たものの区別点が別のページに書かれてありますので,そこを参考にします.この場合は,図版の名前のところに(→p.54)のようにそのページ数が書かれてあります[※クリックすればそのページが開くようにしています].
4-1-2.幼虫の名前を調べる手順
- 幼虫の体についている泥を落とします.
→水道のじゃ口の下で水に当てながら歯ブラシで幼虫を,頭から腹の方へブラッシングしてください.とくに背中と側面は,トゲのあるなしが重要なのできれいに泥を落としておきましょう.均翅類のヤゴは尾さいが取れやすいので,歯ブラシでこすらずに深いいれものの中に入れて水道の流水ですすぐようにして洗ってください.
- 終齢幼虫かどうかを調べます.
→多くの終齢幼虫は翅芽がのびていて,その先端が腹部第3〜4節かそれより後ろへのびています.腹部第2節にかかるくらいであればまだ終齢幼虫ではありません.これらの幼虫については注意して調べをすすめていってください.
- 図版も参考にしながら,科の検索表でそれがどの科に属するかを調べます.
- その科の図版のページをみて絵合わせによって名前の見当をつけます.このとき,形と大きさを中心に絵合わせします.色調や色の濃いうすいはあまり重要視してはいけません.生息環境によっては真っ黒になっていたりします(ナニワトンボを見よ).
- その後,その種の解説のページをみて細かい部分をチェックし,名前を確定します.
- まちがっていたときには,もう一度 3. からやりなおします.
- 羽化殻の同定をおこなうときには,とくに腹部がのびていることに注意して作業を進めていってください.
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