新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
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トンボ科

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<トンボ科 (アカネ属以外)>

60.ハラビロトンボ:16mm前後.
 湿地や水田などの泥の中.泥をかぶっていることが多く,体表には毛が多い.細長く鋭い背棘を第4〜9節に持つ.横からみると第9節の背棘の先端は第10節の端を越える.側棘は第8,9節.側刺毛9本.

61.シオカラトンボ:19mm前後.
 さまざまな水域の泥中.背棘がない.側棘は第8,9節にある.側刺毛5本.

62.シオヤトンボ:15mm前後.
 湿地の中を流れる細流の泥中など.背棘は第4〜7節,側棘は第8,9節.側刺毛は通常5本.

63.オオシオカラトンボ:20mm前後.
 湿地の中を流れる細流,溝川などの泥中.背棘は第4〜7節,側棘は第8,9節.側刺毛は通常7本.体格も大きく,シオヤトンボと区別できる.

64.ヨツボシトンボ:20mm前後.
 ヨシなどの植生豊かな池沼の植物沈積物の中.背棘は第3〜8節,側棘は第8,9節.側刺毛は多くが6本,時に7本.シオカラトンボ属の幼虫に似ている.

65.ベッコウトンボ:18mm前後.
 ヨシなどの抽水植物の多い池沼の植物沈積物の中.背棘は第3〜9節,側棘は第8,9節.側刺毛は通常7本.シオカラトンボ属の幼虫に似ている.

66.ハッチョウトンボ:8mm前後.
 湿地の表面にうすく水が流れている泥中.背棘はなく,側棘は第8,9節.側刺毛は通常6本.終齢幼虫はこの小ささですぐにわかる.

67.コフキトンボ:17〜23mm前後.
 ため池の植生の根際.背棘は第4〜9節(第3節にあるものもある)で,特にその第6〜9節の背棘は稜状になっているのが特徴.側刺毛4本.8月下旬にとれる羽化間近な終齢幼虫および羽化殻は小さい


68.ショウジョウトンボ:18mm前後.
 ため池の沈水植物の中にまぎれこんでいる.体表がなめらかで背棘がない.側棘は第8,9節.側刺毛10〜12本.

85.コシアキトンボ:18mm前後.
 ため池のうす暗い部分の植物沈積物の中.背棘は2〜10節(10節のものはわかりづらい)にあり,第7〜9節は稜状になる.側棘は第8,9節.側刺毛は10,11本.

87.チョウトンボ:14mm前後.
 浮葉植物を中心とした植生の豊かな池の植物沈積物の中.腹部第10節が第9節の中にめり込んでいるようにみえる.背棘は第4〜9節.側棘は第8,9節で小さい.側刺毛6本.

88.ハネビロトンボ:26mm前後.
 植生豊かな池の,水面下に広がる沈水植物の中にもぐり込んでいる.体表はなめらかで背棘がない.側棘は第8,9節にあり長い.肛側片肛上片よりはるかに長い.側刺毛10〜11本.

89.ウスバキトンボ:22〜25mm前後.
 学校のプール,公園の池,雨水などがたまってできた一時的な水たまり,水田など.背棘は一見ないようにみえるが第2〜4節と第10節にある.第10節のものは小さい.側棘は第8,9節にあり長い.側刺毛12〜15本.



<トンボ科 (アカネ属)>

 アカネ属の幼虫は,側棘が第8,9節にあり通常長く鋭く,背棘がネキトンボを除いて第4〜8または9節にあり,体表はなめらかて表皮が柔らかいことが特徴である.側刺毛数もほとんどが10〜12本で,どれもよく似ていて区別が困難である.筆者は通常次の手順で調べ,あとは手元の標本との比較によって名前を確定している.
(1)背棘が第4〜9節にあるもの
オオキトンボとキトンボのみ.
  
(2)背棘が第8,9節両方にないもの.
ネキトンボ.
 
(3)背棘が第4〜8節にあるもの.
これは第8節の側棘の長さでおおざっぱに3つのグループに分けることができる.

(3a)先端が第9節末端にとどかないもの
 タイリクアカネ,マユタテアカネ,マイコアカネ,ヒメアカネ,ミヤマアカネ,コノシメトンボ,(ネキトンボ).

(3b)先端が第9節末端にちょうどとどく程度のもの
 アキアカネ,(ネキトンボ).

(3c)先端が第9節末端を越えるもの
 ナツアカネ,ノシメトンボ,リスアカネ,ナニワトンボ,マダラナニワトンボ.


(1)のグループ
82.キトンボ:17mm前後.
 植生豊かな池沼の底.オオキトンボと区別困難.通常側刺毛が11本であればキトンボである.下唇中片に細かいかっ色の斑点が散らばり,これはオオキトンボより細かい.第9節の側棘がやや内側を向く傾向がある.

83.オオキトンボ:20mm前後.
 平地の植生豊かな池沼の底.キトンボと区別困難.側刺毛は12〜13本であるが,キトンボにも12本以上のものがまじる.下唇中片に散らばるかっ色の斑紋はキトンボよりやや大きい.第9節の側棘が平行にまっすぐ後方を向く傾向がある(標本写真参照).

(2)のグループ
84.ネキトンボ:19mm前後.
 沈水植物の中や根際にもぐり込んで生活.背棘の数は,まったくないものから第4〜8節にあるものまで,変異がある100).通常は第4〜7節.3aグループのものとは大きさと側棘の出方を比較する.

(3a)のグループ
71.タイリクアカネ:16〜19mm前後.
 海岸近くの平地のため池,プール,公園の池などの底.
78.コノシメトンボ:18mm前後.
 平地のため池,プール,公園の池などの底.
 上記2種は,第9節の側棘の長さが第9節の長さとほぼ同じで,第8節の側棘が第9節側縁のカーブに沿うように出ている.コノシメトンボには下唇にかっ色の斑点がまったくない.タイリクアカネには下唇側片に微小な斑点があって区別できることがあるが,ほとんどないものもあり注意.

73.マユタテアカネ:15mm前後.
 ため池,水田,河川などさまざまな水域.
74.マイコアカネ:14mm前後.
 湿地,または池の湿地状になった泥底.
76.ミヤマアカネ:15mm前後.
 用水路や河川,水田等の植物の根際や泥底.
 上記3種は第9節の側棘がその節の長さの半分以上かつ等長以下である.下唇側片の斑点が細かく第8,9節の側棘がいちばん細く長いのがマイコアカネである.マユタテアカネはそれに次ぎミヤマアカネがいちばん短い傾向にある.マユタテアカネはミヤマアカネより下唇の長さが長く裏返してみたときに中肢の基部を越える.この2種はいずれも下唇側片の斑点が大きく濃い.いずれの形質にも個体変異があり誤同定に注意.

75.ヒメアカネ:12mm前後.
 湿地の流れや水たまりの泥底.第9節の側棘が第9節の長さの半分以下.

(3b)のグループ
69.アキアカネ:18mm前後
 水田,浅い池沼,都市公園の池などの底.ネキトンボにアキアカネとよく似たものがあり誤同定に注意.

(3c)のグループ
72.ナツアカネ:17mm前後.
 水田,浅い池沼などの底.
77.ノシメトンボ:18mm前後.
 水田,用水路,河川の泥底.
79.リスアカネ:17mm前後.
 雑木林などに囲まれたため池などの底.
80.ナニワトンボ:14mm前後.
 雑木林などに囲まれたため池などの底.
81.マダラナニワトンボ:15mm前後.
 浅い皿状の,松林に囲まれた池.
 下唇にかっ色の斑点が散らばってないか,あっても,側片の動鉤の周辺にだけであるものは,ナツアカネかマダラナニワトンボで,後者は前者より側棘が細く長い.残り3種には下唇側片にかっ色の斑点が散らばる.このうち体長が15mm以下であればほぼナニワトンボといえる.ノシメトンボはリスアカネより背棘側棘とも長い傾向にある.特に第9節の側棘は肛側片の先端を越えることが多く,リスアカネはそこにはとどかないものが多い.いずれにせよナツアカネ,ノシメトンボ,リスアカネの確実な同定は困難. 

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