デジタル化神戸の自然シリーズ7 六甲山のツツジ
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■サツキ

18.サツキ

 サツキは盆栽ツツジの代表的な品種としてひろく親しまれている。しかし、植物や盆栽などに関心のうすい人たちの間では、サツキといえば、ツツジ全体をさすぐらい広い意味に使われている。

 サツキはふつう1メートル前後の高さであるが、岩場などに生えているものは極端に小さく、10センチぐらいである。根元から株分れし、枝もよく分れる。枝の上端に近い部分には褐色の剛毛がつき、密生する。

 葉は常緑で枝の先に数枚つく春葉は両はしがとがった長楕円形で、ふちにほ浅い鋸歯がある。葉の両面とふちに褐色の毛がある。葉の長さは3センチ前後である。秋葉は小さく、やや厚くてかたい。

 6〜7月ごろに朱色がかった赤い花が、枝の先に1個つく。花冠は5つに中裂して広く開き、上面に濃い色の斑点がある。おしべは5本あり、先端のは黒っぼい紫色で、下半部に粒状の突起がある。めしべはおしべより長い。果実は長卵形である。

 サツキは広い六甲山地の中でも、たった一か所、武庫川の中流の岩場に生えているだけである。西宮市生瀬から北の武庫川は、岩壁の間を縫って流れる渓谷をつくっている。サツキはこの川岸の岩場で、増水すれば川の水に洗われるが、ふだんは水面から離れた岩の割れ目などに根をはって生えている。六甲山地以外では、京都の保津川、木津川・岡山県の高梁川などにも自生している。全国的にみると関東西南部から九州屋久島まで分布するが、何れも川の中流・上流の崖のようなところに生えている。

 サツキは旧暦の五月に咲くので、五月ツツジと名づけられていたが、ツツジを略してたんにサツキといわれるようになった。盆栽に利用されるのは、根付きがよいのと、花の色、形に変異の多いのが原因であろうが、現在では、サツキの品種は2000にものぼるという。かなり不利な環境に適応できる形質をもっているサツキの自生地が限られた僅かな個所にしかみられないのは、長い期間にわたる濫掘のせいではなかろうか。しかし、最近ではサツキはほんらいこのようなきびしい環境に生育する種であるとする説もある。

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