| 秋の単子葉植物 |
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「実りの秋」は稲(いね)の収穫期をあらわし、イネ科植物の花どきであり、実を結ぶ時期でもあります。
花は小さくて目立ちませんが、1〜数ケの小花が集まって1つの小穂となり、その小穂がまたいくつか集まって穂となるのがイネ科やカヤツリグサ科のなかまです。ユリ科やアヤメ科などは美しい花のものが多いです。
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写真321、ススキ
10月、住吉川 |
写真322、ツルヨシ
10月、住吉川 |
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■ススキ
近頃、街でも田舎(いなか)でも、人里の秋の自然風景には日本古来のススキと北米原産のセイタカアワダチソウがセット(set)になっているのをよく見かけます(写真321)。
ススキは地下に短いけれど太い根茎が残り、大きな株をつくって叢生(そうせい)します。この生え方は郊外の水辺で見るオギとの違いです。
ススキの葉のふちは鋭いひっかかりがあり、手を切ることもあります。
穂には長くて「く」の字型に折れ曲がったのぎがありますので、オギとの区別がつきます。
■ツルヨシ
土や砂の堆積(たいせき)した中州(なかす)から、長々とつるを這わせて広がるツルヨシの群落です(写真322)。下流に向けて長い列をいくつも並べています。よく似たヨシとの違いは、穂や花のしくみでの区別は難しいので、地表を這うつるの有無で見分けます。
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写真323、ヨシ
11月、山田川 |
写真324、シマスズメノヒエ
10月、落合中央公園 |
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■ヨシ
大阪湾に開く神戸の河川(かせん)は10本ほどありますが、河口(かこう)にヨシがまとまって群生しているところは残念ながら、この山田川河口だけとなりました。大切に見守ってやりたいものです(写真323)。
ヨシはツルヨシと違って、地下に長いつるを走らせます。また、稈は束になって生えるのでなく、1本ずつの一人立ちです。昔はアシと言っていましたが、アシは「悪し」に通じるので、使う人が少なくなりました。それでヨシ(良し)です。
ヨシの群生はびわ湖に限らず、有機物の多い都市の水が海に入るのを防いでくれるのです。
なお、ヨシは冬は枯れ草となりますが、セイタカヨシは冬も緑を残し、須磨浦で帯状の群落をつくっています。
■シマスズメノヒエ
高さ0.6〜1m、斜めまたはまっすぐに立ち、数ケの穂を左右に出します。一つ一つの小花には、長い白い毛があって、昔からのスズメノヒエと区別されます(写真324)。
イネ科、南米原産の多年草です。道ばたならどこにでも見られます。
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写真325、ガマとヒメガマ
8月、住吉川 |
写真326、ノカンゾウ
9月、大門橋、第2神明 |
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■ガマとヒメガマ
ガマ科の多年草です。手前中ほどのがヒメガマ、そのまわりはガマです(写真325)。太い円柱形の部分が雌花の穂で、すぐ上の細長い穂は雄花の集まりです。雄花の穂の下にすぐ雌花の穂があればガマで、もしこの間がとぎれていれば、ヒメガマです。また、ヒメガマの葉の幅はガマより狭いです。
■ノカンゾウ
地下に根茎(こんけい:茎の節から根を出す地下茎)を長く延ばすユリ科の多年草です(写真326)。
花は先が6つに深く裂けています。市街地で残っているのはとても珍しいです。花が八重咲(やえざき)のはヤブカンゾウといい、庭先に植わっていることもあります。
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写真327、ツルボ
4月、舞子駅前 |
写真328、ツルボ
10月、JR舞子駅西 |
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■ツルボ
人が時々手をいれる芝生地や墓地など、よく日の当たる背の低い草地に生えます。ユリ科の多年草で地下に鱗茎(りんけい:玉ねぎ、ラッキョ)があり、花の終わった後に葉を出します(写真327)。
花は夏の終わりから秋の半ばごろまで、群がって生えているのを見ます(写真328)。
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写真329、ヒガンバナ
2月、狩口台3 |
写真330、ヒガンバナ
10月、狩口台3 |
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■ヒガンバナ
こちらは地下に鱗茎をもつヒガンバナ科の多年草です。花のあと葉を出し、冬のあいだもせっせと光合成(ひかりごうせい:デンプンをつくる)して栄養を蓄えます(写真329)。
秋分の前後に花を咲かせますが、染色体の組み合わせができないので種はできません(写真330)。
花は花茎(かけい:花をつける茎)の頂きに5ケ輪状、横向けに出します。花びらは6枚、おしべ6本と1本のめしべを外に向けています。
今から3000年以上前の縄文(じょうもん)時代の終わりころ、大陸から日本への人類の移動や稲、麦の移入とともに入ってきたとても古い帰化植物と考えられています。
昔の人は、イネ、ムギの主食が凶作(きょうさく)のとき、有毒の鱗茎をつぶして水にさらし、デンプンを作って餓(うえ)をしのいだと言われます。
別の名はマンジュシャゲ、ヤケバナ、ソウシキバナなど、とてもたくさんあるようです。
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