街なかの樹木たち(1)

 
 神戸の街路樹は、高木だけでも約10万本、公園は822ケ所で面積は840ha(ヘクタール、8.4km2)といわれ、そこに植えられた樹木はざっと160種、街を歩くだけでこれだけ多くのものが見られるのです。
 
 植えられている木は日本の自生種だけでなく、中国をはじめ北米やその他の国から移入されたものなどいろいろあります。ここでは、主に日本や神戸に自生する木で、しかも街に植えられているものを中心に写真で簡単に紹介します。

 外国産の木、校庭の木、民家の生垣や庭木については、のちの機会にゆずります。

写真369、クロマツ
4月、落合中央公園
写真370、クロマツの成長
3月、落合中央公園


■クロマツ

 針葉樹マツ科の高木でもともと海辺の木です。「みどり」のてっぺんに雌花が3つほど見えます。「みどり」の下は前年の枝葉です。下に昨年の「マツぼっくり」があります(写真369)。


 公園のマツが弱って切られていました。年齢を数えると15本で、直径は23cm、近くにあるもう1本は25本で28cmでした。植えられた場所が同じでも、円周に直しますと1年で3.5cm〜4.8cmの速さで肥大成長したことになります(写真370)。

 しかし、このスピードで大きくなるのではなく、次第に小さくなり、また、広葉樹ではもっともっと小さな値にしかなりません。



写真371、ヤマモモ
6月、落合中央公園
写真372、オオバヤシャブシ
3月、落合中央公園


■ヤマモモ

 ヤマモモ科でたった2種しかないものの一つです。常緑高木、雌雄は別株です(写真371)。


■オオバヤシャブシ

 カバノキ科の落葉高木で、これも海岸性の木です。神戸では砂防林として六甲山地のふもとや山道にそって植えられました。花は早春です(写真372)。



写真373、アラカシ
4月、三宮駅南
写真374、アラカシのドングリ
11月、落合中央公園


■アラカシ

 神戸の山地では、最もありふれたブナ科の常緑ガシの高木です。

 若葉が伸び、雄花が垂れています(写真373)。 また秋にはドングリ(写真374)。


 

写真375、コナラ
4月、落合中央公園
写真376、アベマキ
4月、フラワーロード


■コナラ

 同じブナ科ですが、こちらは落葉高木で、雑木林(そうきばやし:里山)では衰えを見せるアカマツに代わって主流となっています(写真375)。


■アベマキ

 ブナ科の落葉高木で。神戸の雑木林(二次林とも)ではコナラと並ぶ普通種、ドングリは大きくて少し長めの球型、樹皮は厚いコルク質で弾力があります(写真376)。



写真377、ウバメガシ
5月、落合中央公園
写真378、マテバシイ
6月、北須磨文化センター


■ウバメガシ

 海岸の崖斜面に自生するブナ科の硬葉樹です(写真377)。

 垂水〜須磨の海岸部の所々で群生しています。その木炭は最高品質です。


■マテバシイ

 神戸の街のはもちろん、山地にあるものもすべて植えたもの。九州以南に分布するブナ科の常緑高木です(写真378)。

 ドングリはアラカシよりも長くて大きいです。



写真379、シイ
5月、御影山手1
写真380、シイ
5月、離宮前2


■シイ

 暖地の常緑広葉樹の森である照葉樹林(しょうようじゅりん)で最も優勢な高木ですが、六甲山地の南面では、まや山や再度山大竜寺付近の山腹と、須磨区、東灘区の山すその一部に見られるだけとなりました(写真379)。

 初夏のころ、若葉と花穂で黄褐色の樹冠(じゅかん)がもこもこと盛り上がり、それとすぐ分かります(写真380)。

写真381、ケヤキ
4月、名谷駅
写真382、ケヤキ
9月、海上保安庁山側


■ケヤキ

 ブナ科に近いニレ科の落葉高木で、さわやかな若葉に同じ色合いの花穂が短く垂れます(写真381)。

 しかし、潮風には弱く、台風のあとすべて落葉した木(右)、早くも若葉を出して「春」を迎えたもの(中)、そして茶色の葉を残したもの(左)など、同じ場所に植わっていても姿さまざまです(写真382)。



写真383、ヒノキバヤドリギ
4月、狩口台3
写真384、アケビ
4月、妙法寺


■ヒノキバヤドリギ

 ヤドリギ科の常緑小低木で、これはモクセイ科のトウネズミモチに寄生しているものです。このヒノキバは他にツバキ科やモチノキ科の樹木に好んで着生します(写真383)。


■アケビ

 アケビ科の落葉性木本づる(藤本:とうほん)です。実は鶏卵大で熟すと割れます。割れないままのはムベといい、こちらは常緑です(写真384)。



写真385、コブシ
3月、福住公園
写真386、季節はずれのハクモクレン
9月、海岸通4


■コブシ

 中国から来たハクモクレンやシモクレソと同じモクレン科の落葉高木ですが、神戸には自生しません(写真385)。似たものがあったら、それはタムシバです。

 花の付け根に一枚の若葉があるものは「コブシ」、ないものは「タムシバ」です。

 ついでながら、季節はずれのハクモクレンをお見せしましょう。元町近くの街路で9月28日のもの(写真386)、潮で刺激された植物ホルモンのせいでしょうか。



写真387、クスノキ
5月、雲中小校庭
写真388、クスノキ
4月、松尾下公園
写真389、クスノキ
3月、大国公園


■クスノキ

 県木ともなっているクスノキ科の常緑高木、若葉と共に花の時期を迎えます(写真387)。ときに若葉は紅葉もします。強くなった初夏の紫外線をやわらげるのでしょうか(写真388)。

 耐火性のある木は震災時の火の広がりを食い止め、多くの市民を守りました。これは新聞でもたびたび報道された公園のクスノキです。あの1月17日から2ヵ月後の様子です(写真389)。



写真390、ツバキ
3月、妙法寺
写真391、イスノキ
9月、播磨町筋


■ツバキ

 花はメジロ、ヒヨドリの好物で、真冬から4月頃まで咲くツバキ科の常緑亜高木です。暖地に広く分布する象徴的な木です(写真390)。


■イスノキ

 マンサク科の常緑高木で六甲山南面と丹生山地の一部に自生している木です。海岸近くの街路に植えられたのが台風の潮風ですっかり茶色になりました(写真391)。

 そのあと、5ヶ月以上たってもそのままです。よほど潮風がきつかったようです。



写真392、トベラ
5月、摩耶インター南
写真393、トベラの実
王子陸上競技場西門


■トベラ

 バラ科に近いトベラ科の海岸性の常緑低木で、幹線道路沿いによく植えられています。花は雌雄別の株につきます。写真392は雌花です。

 実が熟して割れますと、ねばねばした液を引いて垂れます(写真393)。



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