トベラ (花期 4−6月)

(1) トベラと節分
 節分の豆まきは一般的な行事になっていますが、節分のとき、飾りにイワシやヒイラギ、トベラが使われる地方 (伊勢、出雲、...) があるといわれます (湯浅浩史 『植物と行事』。朝日選書 1991年)。
 トベラという植物名の由来は、扉や戸にトベラをはさんで節分に飾ったことと関係があるようです。
 トベラは葉をもむ、枝を折ると青臭いにおいがしますが根の皮をはぐと特ににおいは強いです。湯浅氏によると鬼脅かしにトベラのにおいが利用されたかというと、そうではなくて生葉を火にくべるとバチバチ音を立てながら燃えることから (ヒイラギもそうです) 、音で鬼脅かしをしたのではないかといいます。


(2) トベラ
 トベラは私にとっては付き合いの浅い植物です。暖地の海岸沿いに生える植物で、私の生まれ育った中国山地の内陸部では見かけず、ふれたことがなかったからです。

■葉

 葉は互生し、長だ円形で先は円いです。長さ5−8cmで厚く、きょ歯はありません。
[松江、1999.5.20.]

[須磨浦、2001.5.14.]

■花
 4−6月に釣り鐘形の白い花を咲かせます。花の色は黄色に変わっていきます。5花弁、おしべ5、雌雄異株です。
[2001.5.26.]

■実
 かなり大きく黒褐色です。果実は球形で秋に3裂開します。中から赤い肉質の仮種皮が出ます。仮種皮の周りには粘りの強いアメ状のものがついています。小さな昆虫がくっつくと逃げられません。

[2001.12.23.]

[須磨、1999.12.16.]
[上5枚:3裂開する実、須磨浦、2001.12.23.]

(3) コヤスノキ
 トベラのなかまには、世界でもめずらしいコヤスノキ (子安の木) があります。兵庫県の西播磨に生えています。
[宍粟郡安富町、2001.9.30.]

メニューにもどる