神戸の自然シリーズ15 生田川の自然をさぐる
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左上:冬の生田川(市ヶ原付近)
 時にはごらんのように氷が張ったり、雪でおおわれることもあるが、0℃近い水の中で春の羽化期にそなえ急速に生長していく仲間もある。

右上:カゲロウの一種の幼虫(チラカゲロウ)
 浅瀬をしっと見ていると「ツィ、ツィ」
とすばやく、短い距離を移動している。

下:カゲロウのなかまの成虫
 カゲロウのなかまは尾が3本のものが多いが、フタバコカゲロウ、ヒラタカゲロウ、オビカゲロウのなかまでは2本となっている。このなかまは蛹の時代がなく、水中からあがって亜成虫、そして成虫となる。

左上:カワゲラの幼虫(オオヤマカワゲラ)
 体はやや偏平な感しで、3cm前後、水生昆虫のなかでは大きいほう。

上中:カワゲラの羽化したその後の殻
 渓流の中で育った幼虫は水を離れ、近くの草むらなどで羽化するので、このような穀をよくみかける。
右上:カワゲラの成虫(オオヤマカワゲラ)
 飼育していた幼虫から羽化直後のもの、頭と胸は黒っぽく、翅は黒褐色をしている。
下:ニンギョトビケラ
 小石や砂粒をつづりあわせた筒巣の中に幼虫がすむ。はじめて見る人なら砂のかたまりが動くのでびっくりするだろう。

渓流の水生昆虫(1)

 生田川の渓流にすむ水生昆虫の主なものをあげてみましょう。

1)カゲロウのなかま:石ころを静かにもちあげてみましょう。すると石の色とよく似た頭でっかちで体が扁平な虫がチョロチョロと動きまわっています。魚をつる人たちは、この虫をチョロムシと呼んでいます。体はわずか1cmあまり、水の流れに逆らわない形をしています。大切な特徴は脚のつめが1コであることで、次のカワゲラのなかまと区別します。尾はほとんどのものが3本、まれに、2本となっています。腹の左右には7対の羽根の形をしたえらがあります。そう類をたべます。

2)カワゲラのなかま:体はカゲロウよりずっと大きく、体はやはり流れに適応して扁平。しかし、必ずつめは2個あるのがカゲロウとの区別点。また、尾は2本でえらは、胸部に糸状のものがあり、カゲロウのように腹部にはありません。また、成虫が休んでいるときは翅を背の上にきちんとたたんでいて、カゲロウのように立てません。肉食、草食両刀使い。

3)トビケラのなかま:水の中にすみながらクモのように口から糸を吐いてあらい網をはるシマトビケラ、砂粒や植物片をつづって巣を作るニンギョトビケラやカクツツトビケラなどがあり、より進化したなかまです。渓流の掃除屋さんです。

4)ヘビトンボのなかま:石ころをもちあげるとカゲロウのようにはいまわらず、ポタリと水の中におちる。トビケラと同じく完全変態です。

5)カワトンボのなかま:水深のやや深いところにすみ、体は4cmと大きい。腹端に長い平らな尾鰓があります。

6)その他:この流域の谷や池にはイトトンボやヤンマのなかまの幼虫をはじめ、アメンボや止水にはいなくて流水のみに生活するシマアメンボなど水面の昆虫もいます。また、さらに上流ではカワニナはみつかりますがホタルはいません。



左上:アメンボ(アメンボ科)
 池のような止水中や、渓流部の流れの静かなところにすみ、肉食性。写真は雌雄が重なって浮んでいるところ。
 体がこれよワ小さく、だ円形をしたシマアメンボは、渓流にのみすむ。
右上:ヘビトンボの幼虫
 がん状な大あご、8対の突起と7対の糸状え らが生え不気味な格好をしている。肉食性が弱い。その姿からカワムカデともいわれる。

下:ヤマトクロスジヘビトンボの成虫
 体は3.6cmだが、翅を開げると胴体よりずっと長〈、前後とも同じぐらいの大きさになるのでつり合いのとれない不格好な姿となる。


 生田川の上流域には、人の集まるいろいろな施設があって昭和48年以前は水が汚れ、渓流魚やカジカなどもすめなくなっていましたが、その後、神戸市と施設管理者とのあいだで排水処理について協定が結ばれ、水質の改善に努力が払われてきました。

 これにあわせ「布引・市ケ原を美しくする会」とこれに参加する多くの区民がゴミを拾い、登山者に呼びかけ、生田川の流れをきれいにするために協力してきました。一方区役所や「美しくする会」の人たちがサワガニやカジカをはじめ、いろんな渓流魚を何度も放流して育ててきました。そして最近では、アユがのぼり、放流したアマゴも生きていることが確かめられるまでに水質の改善が進んでいます。

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