神戸の自然シリーズ2 神戸のかたつむり
  前ページへ 目次へ 次ページへ
III.カタツムリの生活

(1)飼 育

 野外で採集してきたかたつむりを飼育するのは、そうむつかしいことではない。観察が容易で手に入りやすい飼育容器は、市販の昆虫飼育槽(プラスチック製のスズムシやカブトムシ用)が適している。ふたは飼育槽付属のものでもよいが、サラン製などの目の荒い網布を張って或る程度風通しを良くしてやる方がよい。底へ少量の土や落葉を入れてもよいが、土に湿気を与えすぎたり、食物を腐らせると貝が弱るので器内は常に清潔に保たなければならない。土や落葉を時々、入れ替えてやる必要があるので管理上、土を入れない方がよいかもしれない。かたつむりは有肺類であるから、混気は好んでも、水中では生きていけない。飼育槽の底に水抜きの小穴をあけておくことも必要である。

 餌については次に述べるが、要は食べ残しがあまりないようにすること。活動期には、できれば毎日餌を取りかえてやること。また餌を与える時に、霧吹きなどで容器全体に適当に湿るぐらいに湿気を与えるとよい。土などを入れないならば、乱暴だがじょろなどで人工雨を降らせてもよい。夏の暑い時期には風通しが悪いとむれて死んでしまうので注意が必要である。越冬させるのは底に土や落葉などを増やし、やや乾操した状態にしておけば落葉の下などにもぐり込んで春まで休眠している。


(2)食 事

 かたつむりは植物質を歯舌でけずり取って食べる。大根おろしをする要領である。ガラス板の上を這わせ下から観察すると口の部分がよく見える。

 山林中では落葉やこけ、樹皮のやや腐ったものなども食べるようだが、きのこなど好物があるようだ。社寺林などではごみ捨て場に陸貝が多い。ダンボール紙など紙類も好物である。

 飼育には手に入りやすい野菜でよい。きゅうり、なす、レタスなどを好んで食べる。きゅうり、なすなどは切って与えると皮を残し中身をきれいに食べる。その速さもかなりなもので、耳をすますとけずり取るごりごりという音が聞ける。食事中は眼のついている大触角をだらりとさせて一生懸命である。湿気とにおいに敏感で春〜夏には適度の湿気を与えると活発に這いまわり、餌を求める。

 糞は細長いもので、その色を見ると何を食べたかよくわかる。きゅうりを食べれば薄緑色、なすを食べれば薄紫、新聞紙を食べれば白黒だんだらの糞をする。

 なお陸貝には一部、動物食の種類もある。


(3)運 動

 活動中は殻から軟体の一部を出して這いまわる。体表は粘液でおおわれて網目状になっている。大型かたつむり(マイマイ属)では体の上に縦に帯が入るものがあり、その入り方で種の判定をすることもある。体の下の方に少し区別のつくものをという。の運動は筋肉の波が後から前へ動いて前進する。この状態はガラス板の上を這わせて、裏から見るとよくわかる。また口の状態も同時に観察することができる。

 軟体の前の端に頭があり、二対の触角がある。上の方が大触角で先端にがついている。触角に触れるとを触角の中に入れてしまう。下の方には味触角とも呼ばれる小触角があり先がふくらんでいるが眼ではない。はあまりよく見えないようで這っていて障害物を事前に避けることはほとんどなく、がついていても、まさに触角で物にあたって引っ込め方向転換をすることが多い。多分明暗の判断ぐらいしか出来ないのではないかと思われる。なおは切断しても数週間で再生したという実験例がある。

 軟体が殻口に入るところに穴が開いたり閉じたりしているところが呼吸孔で肺への入口である。その横に肛門があってひも状の糞を出す。


(4)成 長

 大型かたつむりは主として雨期に大木の根元などの土を少し掘り、その中に産卵する。陸貝の卵は一般に体に比べ大きく、殻が30〜40mmのかたつむりで直径3〜4mmの球型で石灰質の殻を持つ立派なものを20〜30個生む、陸貝の大部分を占める有肺類雌雄同体で同じ個体に雄と雌の生殖器をもっているが、交尾をし互いに精子の交換をする。しかし自己受精をすることもあるそうだ。

 卵は産卵後20日程度でかえり、殻を1巻き半ぐらい持ち、完全にかたつむりの形で出てくる。その後、殻をすこしずつ巻き方向に作りながら軟体部も成長する。殻は生まれたときの約1巻き半には成長脈はみられずすべすべした感じだが、その後は成長脈ができ、やや波打つ感じで大きくなる。殻を作るときは飼育槽の壁にぶら下る状態で半分軟体を出している。親になるのに大型かたつむりで3年程度かかり9年程度生きているといわれている。親になると大部分の種類は殻口が反曲して厚くなるのですぐ見分けがつく。キセルガイなどは卵胎生のものもあり殻口から幼貝が生み出される。親になるまでの期間はキセルガイなどは2〜3ケ月のものもありかたつむりでも3〜4ケ月で親になるものなど種類によってかなり差がある。

前ページへ 目次へ 次ページへ