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■1.ゾウリムシの入手と保存(培養)
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■ゾウリムシの採集と分離培養法
- 落ち葉のたまった、流れの少ない水たまりの水を採取する。公園の側溝、池や田んぼの水、人里近くの水たまりが探しやすい。株を持っている大学の研究室や小中高の教師に譲り受けるのも便利。
- 採取した水を試験管に入れ、光を当ててゾウリムシがいるか調べる。光をかざすと、ゾウリムシは白くて回転しながら泳ぐので、肉眼でも確認できる。
- ゾウリムシを含む水を1滴ずつシャーレにのせて、実体顕微鏡で探す。1つのシャーレに10滴ぐらいおける。
- 見つけたら、スポイドで1匹ゾウリムシを取り、滅菌水をのせたシャーレに移す。1つのシャーレに滅菌水を前もって10滴ぐらい置いておくとよい。
- 煮沸した水につけて滅菌をしておいたスポイドを使い、滅菌水の中のゾウリムシを移していく。
- この作業を5回ほど繰り返して、ゾウリムシを洗浄し、培養液の入った液に移す。
- 摂氏20〜25度ぐらいで一昼夜培養し、分裂しているのを確認して、ねじ口試験管に入れて培養する。これを一つの株とする。
■ゾウリムシの簡便な培養液の作成法
市販のミネラルウォーター(500ml)に豆乳(0.4ml)を加えるだけで、培養液が完成します。
- 国産の軟水のものであれば、ほとんど使用できる、pH7前後がよい。
- 豆乳は添加物の少ないものがよい。
- 少し白く濁っている程度の豆乳の濃度がよい。濃いとゾウリムシが見にくくなる。
- この培養液は行動の観察には適しているが、食胞が白くなるため収縮胞がやや観察しにくくなる。
- ゾウリムシは豆乳を飲むのではなく、豆乳をエサにして増えたバクテリアを食べる。バクテリアはもともとの水の中に入っているものが増えて、ゾウリムシのエサとなる。
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■2.ゾウリムシの行動の観察
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まずは普通に、ゾウリムシが泳いでいるすがたを観察します。特に障害物に当たったとき、どのような動きをするか観察してみましょう。
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観察中の写真 |
生徒のスケッチ(六甲アイランド高校) |
<方法>
- ゾウリムシをホールスライドガラスにのせて、その中に短い木綿糸を置いて、低倍率(100倍)で検鏡する。
- どのように泳ぐか。障害物にぶつかったとき、どのように行動するか、を観察する。
上の写真は、100倍で、暗視野にし、サイドから光を当ててみている。 |
ゾウリムシの行動観察のビデオ記録(23秒)
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MPEG1, 6.2MB |

MPEG1, 2.4MB |
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■3.細胞小器官の観察
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ゾウリムシは、単細胞生物でありながら大きく、特徴的な細胞小器官が見えます。少し工夫して、その細胞小器官を観察します。
■材料
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ゾウリムシ、ホールスライドガラス、ミクロピペット、時計皿、ポスターカラー、運動停止液(0.001M塩化ニッケル液)、検鏡用具一式。
■方法
- ゾウリムシを時計皿に1mlとり、ポスターカラーを1滴加える。
- 5分後、運動停止液を加える。
- 5分後、ゾウリムシが停止したら、時計皿をゆすり、、液を少し回転させるようにして、まん中にゾウリムシを集める。
- ホールスライドガラスにゾウリムシをのせ、カバーガラスをかけて検鏡する。最初は低倍率(×100)で、見つかったら高倍率(×400)にする。
- 細胞1匹をスケッチし、食胞の移動するようすを観察する。
- 収縮胞を観察し、1分間の収縮回数を数える。
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ゾウリムシの凝集反応 |
赤いのはゾウリムシの食胞 |
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位相差顕微鏡での観察 |
通常の顕微鏡での撮影 |
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■4.ゾウリムシに関する資料
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ゾウリムシの電子顕微鏡写真や、接合の写真を紹介しておきます。写真をクリックするとさらに大きな写真を見ることができます。
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接合対(光学顕微鏡) |
接合対(電子顕微鏡) |
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ゾウリムシ全形 |
ゾウリムシ全形(細胞口) |
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ゾウリムシ全形 |
ゾウリムシ表面のせん毛 |
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ゾウリムシ表面のせん毛 |
ゾウリムシ表面のせん毛 |
電子顕微鏡撮影:岩本哲人(神戸市立六甲アイランド高等学校).於:神戸市総合教育センター |
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