神戸の自然シリーズ18 神戸の身近な生き物地図
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■カンサイタンポポ

カンサイタンポポ(花期4〜5月)
 日本在来のタンポポのうち、関西地方では、ほとんどこの種です。多くの舌状花が集まって1つの花をつくっています。花を包む緑色の総包片は、そり返えらないのが特徴です。

 葉はロゼット状に広がり、大きくのこぎり状に切れこむのが多いようです。茎や葉を切ると白い乳液が出ます。カンサイタンポポは、昆虫の力によって、ほかの株から花粉を受けないと実ができません。セイヨウタンポポは、その必要がありません。種子は茶色でまっ白い冠毛がついて、風によって飛ばされ種子をできるだけ広くまきちらします。

 早春のタンポポの、丈は低く、地面にはりついたように咲いています。春のさかりになると花の柄は、ぐんとのびて背丈が高くなります。時期によってこんな違いがあるのです。開花期は4〜5月ですが、まれに秋にも咲くことがあります。

日だまりでは1月末でも咲いている 吸蜜にきたモンシロチョウ

二つのタンポポの見分け方


カンサイタンポポ
総包片はそり返らない

セイヨウタンポポ
総包片はそり返る

セイヨウタンポポとアカミタンポポ
 アカミタンポポもヨーロッパからきたタンポポです。花のつくりでは見わけられません。種子で区別します。

●セイヨウタンポポ
 そう果は灰褐色をしている。
●アカミタンポポ
 そう果は赤味を帯びる。


散髪好きのカンサイタンポポ
 神戸でカンサイタンポポの見事な咲きっぶりの所をといえば、北区道場八幡神社の参道、神戸大学の経済・経営・法学部の前庭、須磨離宮公園道などです。春先の日光を充分に欲しいこの草にとって、年に何回かの雑草刈りをしてくれるところが、絶好のすみ家となります。古来からの日本の植物であるカンサイタンポポの分布は、市街地や大規模開発地(団地)をセイヨウタンポポに奪われているとはいえ、まだ北区や西区の農村地帯では絶対的な優位を保っています。

 花を利用したものとして花輪やお雛様遊びや花相撲などがあります。花相撲は鞭のように叩きつけて、相手の花を落としたほうが勝ちです。茎を利用したものとして、茎を切り、水につけると反り返る性質をつかったものです。水車や風車、片方を反り返らせたかんざしなどがあります。茎が空洞なのを利用して、笛や茎の両端にクローバやレンゲをいれタンポポのストローで吹く風車などいろいろあります。

 神戸には九州地方から北上してきた白い花のシロバナタンポポがあり、今回の調査では、垂水区と東灘区で見つかりました。まだまだ他の所でも咲いていると考えられます。


 日本の在来タンポポは、たくさんの種類があります。おもなものは、北海道、東北地方に咲くエゾタンポポ、関東地方のカントンタンポポ、長野県、山梨県の山間部に分布するシナノタンポポ、中部地方南岸のトウカイタンポポ、西日本に分布するカンサイタンポポとシロバナタンポポなどです。

 たくさんの種類はありますが、どれもみんな総包片が返らないで上むきについています。シロバナタンポポの花は白色です。

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