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| 4.一本だけの社寺林 |
| 須磨区 猿田彦神社 |

大きく曲がったウバメガシの古木 |
多井畑の厄神さんのすぐ北側に、村の道祖神・猿田彦神社の森があります。この森のほぼ中心に、根回り4.5メートル、枝の広がりが20メートルを越すウバメガシの大木があります。樹皮にはヒトツバや地衣類が着生し、まるで大蛇のごとき風格を備えています。
生け垣などに植えられているウバメガシはもともと海岸の岩場にはえている木ですが、どうして内陸部にもはえているのでしょうか。
垂水区の如意寺や大山寺にもウバメガシの群落があります。最も内陸部では、海岸から40キロも入った西脇市の西光寺山にも中腹から山頂にかけて大群落があります。かつて海岸線がこれらの近くまできていて海が退くにつれ尾根や急傾斜地などの乾燥の激しい所にだけ、生き残ったのかもしれませんし、ウバメガシが分布を広げたのかも知れません。
このウバメガシの大木の回りに、直径1メートルほどのクロマツの切り株がいくつかあります。そのうちの数年前に切られた新しい切り株の年輪を数えると、300年余りでした。クロマツとウバメガシは、いっしょに森林を構成する仲間ですから、このウバメガシの木も樹齢300年に達する古木だと考えられます。
ドングリのなる木(ブナ科コナラ属)を大別すると、光沢のある分厚い葉をもつ常緑の木(アカガシ亜属)と、秋に黄葉する落葉の木(コナラ亜属)があります。常緑の木のドングリのおさら(穀斗)には、リング状のもようが幾重にもあるのに対し、落葉の木のドングリの穀斗には瓦をふいたようなもようがあります。ところが不思議なことに、ウバメガシは常緑の木であるにもかかわらず、穀斗にはリングもようはなく、落葉の木と同じ瓦をふいたようなもようになっているのです。
ですから、ウバメガシを2つの亜属から独立させて、第3の亜属に入れたらという意見を出している人もいるのです。花粉の形でも、最近の走査型電子顕微鏡による詳しい研究によると、ウバメガシの花粉は、アカガシ亜属の花粉ともコナラ亜属の花粉とも明らかに異なった特徴を持っています。
ウバメガシという名前は、若葉の色がおばあさんの目の色のような褐色をしていることから名付けられました。
ウバメガシで作った炭は非常に固く、たたくとチンチンと音がします。火持ちのよい備長炭として、ウナギの蒲焼きには欠かせない最高級の炭ができるのです。
元旦の炊き初めの時、ダイズの技とともにウバメガシの小枝をかまどにくべますと、「ゼニゴメ、ゼニゴメ(鋳込め)」と音を立てて燃えるので、縁起の良い祝いごととして言い伝えられています。
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猿田彦神社の大ウバメガシ |
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