神戸の自然シリーズ13 神戸の社寺林を歩く
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9.ゆるやかな丘の雌岡(めっこう)の森
西区 神出(かんで)神社
 
 西区神出町の雌岡山は雄岡山と村をなす山で、海抜は約250メートルあります。
 雌岡山へは、東側の金棒池からの道、神出神社としるされた石碑のある自動車が通れる道、そして、大きな鳥居のある旧参道、の3つがあります。ふもとの県道大久保広野線より徒歩30分で頂上の神出神社に着きます。
 頂上付近を除くと、ほとんどがアカマツを主とする二次林で、ほかにモチツツジ・コバノミツバツツジ・ネジキ・アセビなどのツツジ科植物、コナラ・クリ・クヌギ・ヒサカキ・ソヨゴ・ネズミモチ・ヌルデ・ヤマウルシ・サルトリイバラ・フジなどが多く見られます。頂上付近は北西部がスギ・ヒノキの植林地で、その林床にスハマソウ・イカリソウなどがありましたが、この10年ほどの間にかなり少なくなったようです。かつて、スギ・ヒノキが幼樹のころには、日光が届いていたのに現在ではほとんど届かなくなっているのが大きな原因のようですが、人が株をぬいたことにもよるでしょう。
 神出神社の南東部一帯はアラカシ・カゴノキの群落で、自然のよく残った林です。その他高木では、クロガネモチ・アラカシ・ヤブツバキ・アカシデが目につきます。なかでもクロガネモチは、胸高直径が52センチ、高さは18メートルもありました。高さ3〜8メートルくらいの亜高木低木には、カゴノキ・ヤブニッケイ・ネズミモチ・アラカシ・ヤブツバキ・イヌビワなどがありました。林床にはカクレミノ・アラカシ・カゴノキ・ヤブツバキ・モチノキの幼樹やネザサ・テイカカズラ・マンリョウ・ヤブコウジ・ムベ・キヅタ・ナガバジャノヒゲ・ベニシダなどが見られました。
 カゴノキは雌岡山を特徴づける木として有名ですが、神戸の社寺林には多く見られる木で、クスノキ科の常緑高木です。樹皮がまるい薄片となって点々とはげ落ち、そのあとが淡黄色のため鹿の子模様に見えるのです。鹿の子の樹とよばれるゆえんは、ここにあります。
 暖帯林の自然を残す雌岡山には、かつてカタクリやカンアオイ(ヒメカンアオイ)を食草とするギフチョウが生息していたのですが、今はもうギフチョウの姿を見ることはできません。
 このように自然の動植物が姿を消してゆくのは残念なことです。

 






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