アカトンボの話 新・神戸の自然シリーズ1 神戸のトンボ
 

 トンボのことをほとんど知らない方でも、「アカトンボ」という名前はご存じでしょう。「夕焼けこやけの あかとんぼ.....」三木露風(みきろふう)の詩で有名な赤とんぼの歌の舞台は、兵庫県の播磨地方です。ここでは、地元のシンボルともいえる赤とんぼについて、少し専門的な知識を紹介しておきます。兵庫県南部にすむみなさん、アカトンボについて、少しものしりになりませんか?


■アカトンボとよくまちがえられるトンボ

 いろいろな場面で「アカトンボ」と言われながら、実はアカトンボではないトンボがいます。よくまちがえられるのが、ウスバキトンボとショウジョウトンボです。

アカトンボとよくまちがえられるトンボたち
ウスバキトンボ

ショウジョウトンボ


 ウスバキトンボは、ちょうど体育大会の練習が行われる9月の中ごろ、運動場を群れをなして飛んでいたりするトンボです。麦わら色で、同じところをひらひらと飛んでいます。

 ショウジョウトンボは初夏から夏にかけて、ため池や学校のビオトープで見られる真っ赤なトンボです。

 これらはよくアカトンボといわれますが、正しくはアカトンボではありません。


■アカトンボについて

 では、アカトンボとはどんなトンボでしょう。実はアカトンボという名前がついた種のトンボはいません。アカトンボというのは、あるよく似たグループ(分類学的には「属(ぞく)」というグループ)につけられた名前です。ただ、そのグループの名前も正しくはアカネ属といいます。最近はこれをアカトンボ属と呼ぼうという考えをもつ人もあります。

 日本ではこのアカネ属に属するトンボは21種類記録されています。そのうち、北の方にしか見られないものが3種類いて、また晩秋に大陸から海を越えて飛んでくると考えられているものが3種類います。残りの15種類が、毎年兵庫県で見られます。

 アカトンボはその名の通り、体が赤くなるものが多いですが、一部のアカトンボは体は赤くなりません。

いろいろなアカトンボ
●からだが赤くなる、ふつうのアカトンボ
マイコアカネ・オス ネキトンボ・オス
●からだが赤くならないアカトンボ
マダラナニワトンボ・オス ナニワトンボ・オス

 アカトンボは秋のトンボとして知られていますが、実は夏にはもうすがたを現しています。夏の間は林の中などにもぐり込んで、ひっそりと生活しています。体の色も赤くならず、黄色いままです。そして秋が近づくと、しだいに体が赤くなって、一人前のアカトンボになります。

夏に羽化し、ひっそりとくらすアカトンボ
リスアカネ・メス:撮影、6月22日 マイコアカネ・オス:撮影、6月22日
上の成熟した写真とくらべてください

 成熟したアカトンボは、秋に、タンデムになって、産卵にやってきます。水田、ため池、学校のプールなど、いろいろなところで産卵します。多くのアカトンボは卵で冬を越し、次の年の春に卵がかえり、幼虫は初夏までに育って、羽化します。

秋に産卵にやってくるアカトンボ
アキアカネ・連結打水産卵

ノシメトンボ・連結打空産卵


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