デジタル化神戸の自然シリーズ7 六甲山のツツジ
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■コバノミツバツツジ
2.コバノミツバツツジ

 コバノミツバツツジは、六甲山地ではいたるところに生えているツツジで、おそらくヤマツツジとともに六甲山のツツジ界の一、二をきそう多さである。ちょうど春一番の風の吹くころ、ツツジの中のどの種類よりも早く咲くので「一番ツツジ」と呼ばれている。また、葉よりもさきに花が開くので、花がいっそうひき立つ美しいツツジである。

 暖かい六甲山地の南面でほ、3月の中ごろからつぼみをふくらませ、下旬から4月の中ごろにかけて満開になる。北六甲でも4月中には花が咲きおわる。

 株立ちした幹はまっすぐ上にのび、枝は2〜5本に分れてまるく輪のようになる。

 葉は枝の先にほとんど同じ大きさのものが3枚ずつ輪生状に集まってつく。長さは3〜5センチ、幅は2、3センチで、全体が菱形で先はとがり、基部はくさび形である。葉の出初めめときは、表裏ともやわらかな金色の毛が多いが、しだいに少なくなる。

 花は枝の先端に1〜3個集まってつき、花の大きさは直径約3センチ、先は5つに分れており、斜め上または横を向いている。花の色は、六甲では淡い紅紫色が多い。

 おしべは10本で、それぞれ長さが違い、おしべより少し長いめしべとともに、先の方は上に反っている。子房は長い卵形で黄褐色の毛がある。

 刮ハは長さ8〜14ミリの円柱形で、あらい毛があり、秋には五つに裂けて種子を散らす。

 この木の名は「小葉の三つ葉ツツジ」の意味で、他のツツジと比べて小形の葉が3枚、枝先にまとまってつくところから名づけられたものである。一株ごとに花の色、大きさ、開花時期などが微妙に違い、変異の大きいツツジの一つである。

 日本では岐阜県より西の本州・四国・九州に広く分布する。六甲山地では日当りのよいアカマツ林の下にたくさん生えていて、松の緑の下にピンクの花の敷物を一面に敷いたようすは、非常にはなやかである。このツツジにはこれまで六甲山の低地部に多いといわれていたが、私たちの調査でこのツツジは低地部にだけでなく六甲山のかなり高いところ(約800メートル)まで分布していることがわかった。

 最近の急速な宅地開発のために北神戸や西神戸の丘陵地帯のコバノミツバツツジがだんだん減少しているのは残念なことである。西宮の広田神社のものは株数の多いこと、樹令がたっていること(100年をこえている)などで有名である。


<用語>
披針形:竹の葉のように基部がやや広く先のが細い葉をいう。手術用のランセット刀や槍先のような形を表す訳語。
刮ハ(さくか):果実が熟すと縦に裂けて種子が散布する。アサガオやホウセンカなど。口絵のベニドウダンアセビ参照。


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