デジタル化神戸の自然シリーズ7 六甲山のツツジ
  前ページへ 目次へ 次ページへ
■ベニドウダン

15.ベニドウダン

 ベニドウダンのベニは花が紅色であることをさしているが、ドウダンというのは聞きなれない言葉である。漢字で満天星と書くが、結び燈台のことで、3本の木をひもで結び、その上下をひろげて立て、上部に油皿をおき、火をともす器具である。昔、宮中の夜間行事の燈台に使われた。この燈台に枝の出かたがよく似ていることからドウダンと名づけられた。

 べニドウダンは、高さ2メートルほどの落葉ツツジであるが、六甲山地では4メートルをこすものも珍らしくない。樹皮はなめらかで、直立し、枝は放射状に4本ないし5本によく分れている。

 枝の先には、長さ2〜5センチ、幅1〜2センチの葉が数枚、輪状についている。葉の形は、基部はくさび形、先端はゆるくとがっており、全形はいわゆる倒卵形をしている。葉のふちは細かい鋸歯がある。

 5月から6月にかけて、小枝の先から紅色で鐘のような形をした長さ6〜8ミリの花が数個下向きに咲く。花びらの先は多数の不規則な切れ込みがある。めしべは長く、花冠のロにとどいているか、それよりもわずかにつき出ている。おしべは10本で短く、めしべの根元をとりまくように並び、花糸に短い毛がある。がくは5つに裂け、先は鋭くとがる。

 刮ハは開花後、上を向き、長楕円形である。

 秋には、深みのある紅紫色に紅葉し、花の咲く頃とは、またひと味ちがった美しいただずまいを見せてくれる。

 六甲山地のベニドウダンは、西六甲では600メートル以上での高い所に生え、東六甲では400メートル以上で、西六甲よりも低く下がってきている。このベニドウダンも他のツツジ類と同じように、花こう岩の風化したやせた尾根の、日当たりのよいところに生えている。

 貝原益軒が著わした「大和本草」という和漢の本草を集録分類した書物の中では、「ヨウラクツツジ」という名で記載されている。ヨウラク(瓔珞)とは天蓋や仏堂などに下げる飾りのことで、もとは、インドの上流人が珠玉等を糸で編み、首、胸などにかけた装身具である。ヨウラクツツジという名は、この木の花が、瓔珞によく似ているところからつけられたものであろう。

前ページへ 目次へ 次ページへ