ビオトープで学習するみなさんへ 神戸の自然シリーズ14 神戸の水生植物

 最近、ビオトープをもう一度みなおしてみようという考え方が出てきています。さて、どんなことが問題になっているのでしょう。ここではそれを説明します。とても大切なことなので、ぜひ最後まで読んでください。

■ビオトープは野生の一部!?

 ビオトープは、トンボが飛んできて卵を産み、また飛んで行ったり、鳥によって種(たね)が持ち込まれたり、持ち出されたりします。つまり、自然の一部となっているのです。(難しい言葉で、「自然の生態系の一部となっている」と言います。)つまり、ビオトープの動植物は野生だということです。野生には野生のルールがあるので、それを守らないと困ったことが起こります。もともと、野生というのは自然に動植物が生き育つことを言います。だから、金魚のようにえさをあげたり、チューリップのように球根を植えたりするものとは違うのです。


■野生のルールって?

 では、野生のルールとはどういうことでしょうか。こんな話があります。アマゾンチドメグサという草を水そうに植えるために外国からもってきたところ、それが川で増えてしまったのです。そうなると困るのは前からその川にいた動植物です。もともとその川にあった植物が負けてしまって減ってしまいます。また、あるビオトープがつくられたときに、そのあたりにいないはずのトンボが発生したことがありました。ビオトープをつくるときに持ってきた水草に卵か幼虫がついていたのでしょう。いないはずの生き物がいると、もとからそこにいた生き物が困ることが多くでてきます。その地域の生態系に、違うところにいるものを人が持ってきてはいけないということですね。また、その地域のいるものだからといって、少ししかいない動植物(希少種と言います)をビオトープに持っていったら、どうでしょう。その動植物は全滅するかもしれません。


■生物多様性(せいぶつたようせい)をまもろう

 このように学校ビオトープに動植物を入れるのは、よく考えてからにしないといけません。人の手で、もとからいた動植物が減ってしまったり、違うところからきた動植物が増えてしまったりしたら、いけないのです(生物多様性の保全と言います)。

 みなさんが、生き物の命を大切にするということで、飼うことができなくなった生き物をビオトープや野山に放したりすると、たしかにその生き物は生きのびるかもしれません。でも、そのためにもとからそこにすんでいた生き物が人知れず死んでいくことがあるということを知ってください。生き物は最後まで責任を持って育て、その命が終わるまで飼い続けましょう。本当の「自然や命に対する思いやり」を身につけたいものですね。

 このようなことは国や自治体でも、気をつけていかなくてはならないこととして、重要な課題としています。

 このサイトでは、ビオトープにふさわしい水生植物を提案したり、ビオトープにありそうな水生植物の中で外から来た種類(外来種)、数少ない貴重な種類(希少種、貴重種)などを明らかにし、それらがビオトープにある場合にはどうすればよいかを考えることができるようにしています。


■とりあつかいに注意しなければならない植物の表示

 このホームページでは、野外やビオトープで植物をあつかうときに注意すべき種類には表示をつけています。

とりあつかいに注意しなければならない植物の表示

レッドデータブックにのっている水生植物の一覧表


■参考図書

  1. 上赤博文,2001.ちょっと待ってケナフ!これでいいのかビオトープ?.地人書館.
  2. 角野康郎,2001.侵入する水生植物.川道美枝子・岩槻邦男・堂本暁子編 移入・外来・侵入種 生物多様性を脅かすもの.築地書館.
  3. 苅部治紀,1998.神奈川県のコバネアオイトトンボについて.神奈川虫報,(122):1-5.
  4. 鷲谷いづみ・矢原徹一,1996.保全生態学入門 遺伝子から景観まで.文一総合出版.
  5. 環境庁,生物多様性国家戦略.http://www.erc.pref.fukui.jp/info/tayo.html
  6. (財)国立公園協会,2000.平成11年度地方自治体における生物多様性保全モデル地域計画策定報告書.
  7. 神戸市,2001.ビオトープネットワーク神戸21計画.神戸市.
  8. 神戸市,1996.神戸市環境保全基本計画.