神戸の自然シリーズ6 神戸の野鳥観察記
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■あとがき

 神戸の自然シリーズに「神戸の野鳥」を書きおえて、ひと息いれる間もなく、再び、神戸の野鳥の生態について書く破目になってしまった。

 前の本では、これから野鳥の観察をはじめようとする人びとのために初歩的なテクニックや観察地の案内にはじまり、さらに野鳥の研究者にも参考になるように神戸で記録した野鳥目録におよぶ広い範囲の内容をもりこんだ。
 その続篇ともいうべきこの本は、どこにでも見られる私たちにとってなじみの深い鳥の話が中心である。生態的にとっつきにくい鳥もあるが、なにか特徴があり興味ある生態をもっているものを選ぶようにした。そして、いずれも神戸とその附近で私の観察したことをまとめたものである。鳥の生態は同じ種類でも遠く離れる地域では、その地の気候や植物など環境要素に適応し、おもてに現われる部分にいくらか違いを見せることが多い。遠隔地での観察記録はそのままそっくり神戸の生態に当てはまらないかも知れないし、神戸の生態がそのまま遠くの地で通用するとは限らない。私も、鳥の研究をはじめた頃は、図鑑や生態記録を読んで本の内容と自分の観察結果との間にいろんな点で違いがあるのに気づき、解決に苦心したことも多かった。そしてその答は、野外の観察を深めること以外に得られないことも知った。

 本書では、今まで野鳥に特別に関心を持っていなかった人や、関心はあるがまだ何もしていないという人々のために、自分もひとつ観察に出てみようかという気分になっていただけるような話題をとり上げた。

 この本が理科クラブの参考になったり、教室でとりあげられるならば筆者の望外の喜びである。

 また、小学生や中学生の読者には自然の営みに心をひかれ、自然観察のおもしろさをおぼえ、自然保護のたいせつさや自然に接する態度が養われることを願って書いた。しかし、書き進めていくに従って、はじめに考えた目標としだいに離れていくのを知り、表現の難かしさというものを身をもって味わった。

 そして、いく度かの修正をくり返しているうちに印刷の期限を迎えてしまった。不備の点はまだまだ多いが、御寛容いただきたい。

 この本の作成にあたって多くの方から指導をいただいた。私の鳥類の研究に日頃から指導を賜っている日本鳥学会評議員小林桂助氏からはこの度も多くの助言をいただいた。また、兵庫野鳥の会の諸氏からも貴重な資料をいただいた。さし絵作成に当っては栗村浩史氏にお願いしたが、無理な注文を心よく引き受けて下さって、実感のよく表現された絵で頁を飾ることができた。

 さらに本書発行の機会をあたえてくださった神戸市立教育研究所の中堀明仁所長をはじめ諸先生方から多くのご指導を受けたが、とくに前田保夫先生には編集上、いろいろと御援助をいただいた。

 ここに紙面をかり、深く感謝の意を表します。

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