チョウのなかま　-　ヒョウモンチョウ 　 　山地のをふくめ、神戸で知られている８４種のチョウのうち、２２種がヒョウモンチョウのなかま、タテハチョウ科のグループです。大型で見ごたえのあるものが多いです。 写真１３６、ツマグロヒョウモン(幼虫） ８月、狩口台３ 写真１３７、ツマグロヒョウモン（蛹） ８月、狩口台３ 写真１３８、ツマグロヒョウモン（雌） ８月、狩口台３ 写真１３９、ツマグロヒョウモン（雄） ８月、狩口台３ ■ツマグロヒョウモン 　公園、街路、庭先などによく植えられるパンジー（スミレ科）を食べて育った最終令の幼虫（写真１３６）。太い突起や長いとげをはやし、恐ろしげな格好ですが、噛みついたりはしませんからご心配なく！？ 　さきの幼虫が、そのあくる日、すぐそばの地面ちかい土台に止まって蛹になりました（写真１３７）。やはり、鋭い突起の名残をとどめています。 　パンジーに卵を産みつけているところです（写真１３８）。前ばねの先の黒紫と白の模様の組み合わせが雌のトレードマーク。 　 　雌の前ばねの先の方と比べると、雄との違いがよく分かります（写真１３９）。 　ところで、このツマグロヒョウモンというのは、九州、四国あたりまで分布して定住しているそうですが、近年、都市部の気温が上昇ぎみで、神戸あたりへも北上してきたのでしょう。ただし、越冬して定着しているかどうかは分からないと言われていますので、みなさんの観察を期待します。 写真１４０、ホシミスジ（表） ７月、自宅 写真１４１、ホシミスジ（裏） ９月、自宅 ■ホシミスジ 　庭によくやってくるチョウのひとつ、はねを広げると名のとおり、白の模様が３本の線になります（写真１４０）。 　 　はねの裏側のつけねの模様をよく見ましょう（写真１４１）。白い部分に黒い紋が点々とついていますので、ほかのミスジチョウのなかまと区別できます。 写真１４２、キタテハ（表） １０月、住吉川 写真１４３、キタテハ（裏） ９月、神仙寺通２ ■キタテハ 　セイタカアワダチソウの花にきたキタテハ（写真１４２）。はねのふちが粗いノコギリ歯状になっています。幼虫の食草は、中州に群生する、つるや葉がざらついたカナムグラです。 　もと民家の空き地に残っていたシオン（キク科）の花にきたキタテハ（写真１４３）。はねの裏に白いＬ字型の紋があります。ほかに似たものがありますが、神戸にはいません。 　 写真１４４、ルリタテハ（幼虫） ９月、自宅 写真１４５、ルリタテハ（成虫） ９月、自宅 ■ルリタテハ 　庭のホトトギス（ユリ科）の葉を食べつくして、蛹になる直前の終令幼虫です（写真１４４）。とげ状の突起で武装したものものしい姿です。 　ケースに入れていたら、あくる日天井のふたにぶら下がって蛹化。蛹になっても突起のふくらみが残っていました。 　さきの幼虫が蛹になってから、１３日後に飼育ケースの中で羽化していました（写真１４５）。蛹の期間は２週間ほどです。 写真１４６、ミドリヒョウモン（雌） １０月、狩口台３ 写真１４７、ヒオドシチョウ（幼虫） ５月、王子公園 ■ミドリヒョウモン （雌） 　香りに誘われたのでしょうか、マルバハッカの花に来ています（写真１４６）。ほかにツマグロヒョウン、ウラギンシジミ、モンシロチョウなどもやって来ます。ミドリヒョウモンの雄の前ばねの４本の脈は太くなっています。 ■ヒオドシチョウ（幼虫） 　胴体の各節から肉質突起を出した終令幼虫が、食草としていた公園のエノキから緑色の糞を出しながら、幹を下りていました（写真１４７）。チョウになると、後ろばねの裏に黒いやや大きな紋が一ヶ所ついています。 　 写真１４８、ヒメアカタテハ １１月、落合中央公園 写真１４９、ゴマダラチョウ ９月、住吉台１ ■ヒメアカタテハ 　前ばねの先の方の白い紋のようすで、アカタテハと区別します（写真１４８）。幼虫は、ヨモギなどキク科の食草で育ちます。 ■ゴマダラチョウ 　黒っぽいはねに、白い大粒のゴマをまぶしたよう（写真１４９）。幼虫の食草はオオムラサキと同じエノキです。ここはウツギが生えているくらいですから、住宅地としては山がかったところ。 　 ■イシガケチョウ 　市街地でも、この珍しい蝶が飛んでいるのを見かけますが、なかなか写真になりません。そこで止むを得ず、郊外で撮ったのを使いました（写真１５０）。 　花はご存知、セイタカアワダチソウ。 　 　なおこの写真は、’９４、１１／８の神戸新聞に載りました。 　幼虫は市街地にも生えているクワ科の低木イヌビワです。南方系のこのチョウが神戸で定着しているかどうかは分かりませんので、気をつけておきましょう。 このページのPDFファイル