膜翅目(まくしもく)のなかま

 
 ハチ、アリのなかまの前翅は後翅よりも大きく、飛ぶとき前翅は後翅のふちにあるかぎにひっかけ、一枚の広いはねにして風を受けやすくします。
 
 ミツバチのように小あごで蜜をとったり、かむのに適した口を持ち、完全変態で成長し、一部は社会生活をしたり、寄生生活をするものもあって生活のスタイル(style)は多様です。
 
 また、スズメバチのように産卵管が毒針を兼ねているものもあり、昆虫類はもとより節足動物のなかで最も進化したグループです。
 
 世界には10万種も知られ、まだまだ名前のついていないのもたくさんあるそうです。


写真179、コクロオナガヒメバチ
10月、自宅
写真180、クロオオアリ
5月、神仙寺通2


■コクロオナガヒメバチ

 体は1.2cm、産卵管は5mmと大型のヒメバチで、触角の中ほどが白く、また腹端が白の円紋をつけています(写真179)。このなかまの産卵管はハチのように腹の中にひっこめることはできません。幼虫はほかの昆虫に寄生して育ちます。


■クロオオアリ
 私宅の前は、舗装されていない地道なので、クロオオアリの姿も見られます(写真180)。

 体長1.7cmほどの大きな雌で、目の前のツメクサのたねでも集めようと近づいているのでしょうか。よく似たクロヤマアリもいますが、体はもっと小さいです。

 アリのなかまは体の中ほどの大きくくびれて細まっているところが腹部の第2節です。種類を調べるとき、そこに目をつけるのもひとつです。



写真(写真181)、オオモンツチバチ
8月、神仙寺通2
写真(写真182)、スズバチ
9月、落合中央公園


■オオモンツチバチ

 このなかまの雌は頑丈な脚で土をかき分け、地中にいるコガネムシ類の幼虫(ジムシ)をみつけて、卵を産みつけますので「ツチバチ」の名がついています(写真181)。このオオモンツチバチにはコガネバチの別名があり、成虫は花にやってきて花粉をあさります。写真のは道端のノブドウの花にやってきたもので、ほかにセグロアシナガバチやキイロスズメバチもやってきました。


■スズバチ
 朝、公園の中を通り抜けていますと、みかげ石に刻まれた記念碑の文字のくぼみに、細かい土砂でかためたつぼ型の巣穴が見つかりました。中をのぞくとすでにガの幼虫のアオムシが入れられていました。
 やがて親虫がやはり同じアオムシをくわえて巣に帰ってきて穴へ押し込もうとしているところをパチリ(写真182)。

 そのあとのようすが気になって昼休みどきに現場を見に行きますと、つぼの中は狩りとったアオムシでいっぱいになったのか、親虫が入口にふたをする工事にとりかかっていました。



写真183、ハラナガツチバチ♀
7月、自宅
写真184、ハラナガツチバチ♂
9月、中尾町5


■ハラナガツチバチ♀

 体中にトウネズミモチの黄色の花粉をいっぱいにまぶして盛んな食欲ぶりをのぞかせるハラナガバチ(写真183)。この樹花にはほかにもアゲハ類、ミツバチ、クロマルハナバチ、キオビツチバチ、セグロアシナガバチ、シロテンハナムグリを含め、15種類もの虫たちが寄ってきているのを見ました。また、徘徊性(はいかいせい:うろうろ歩き回ること)のササグモがやってきて獲物(えもの)をねらっていました。


■ハラナガツチバチ♂
 陽当たりのよいところに生え、秋に花をつけるツルボ(ユリ科)の花にきたハラナガバチ(写真184)。こちらは雌よりも体がほっそりしていて触角も長いです。

 やはり幼虫はさきのと同じように、土中のコガネムシの幼虫に寄生して育ちます。雌が卵を産みつけるときはコガネムシが暴れないように麻酔をしておくそうです。



写真185、オオフタビドロバチ
7月、自宅
写真186、ジガバチ
7月、落合中央公園

■オオフタビドロバチ
 さきほどのトウネズミモチの花にきていた虫たちのひとつ(写真185)。スズメバチ科のなかまですが、ドロバチ科とした本もあるように、スズバチやトックリバチと同様、こちらも土だんごを作ってつぼをつくり卵を産み、親がガなどの幼虫を狩ってきて育てます。なお、このなかまには竹筒の中で幼虫を保育するのもいます。


■ジガバチ
 公園をかこむ歩道の上でシャクトリムシの幼虫をあしらっているジガバチ(写真186)。ほかの名をカリウドバチ(狩人バチ)ともいいます。

 腹部第2節がとても長く、赤褐色のふくらみで終わっています。その生態は「ファーブルの昆虫記」にも興味深く書かれています。

 狩った蛾の幼虫は、地中に掘ったたて穴から横穴へと運び込まれ、幼虫の餌として与えられます。

 なお、ツチバチやドロバチのなかまはスズメバチのなかまとちがって社会生活をしない単独生活です。



写真187、セグロアシナガバチ
8月、自宅
写真188、キイロスズメバチ
神仙寺通2


■セグロアシナガバチ

 家の軒下でいつの間にかセグロが巣をつくっていました(写真187)。最初の巣は冬を越してきた女王バチたちです。
 この巣は8月初めのものですから、おそらく女王バチを中心に多くの働きバチが母娘共同で秋の交尾期にそなえ雄や新女王バチとなる幼虫を育てているところなのでしょう。

 ハチの背にはカメラのピントが合っていますが、はねはボケています。これは、働きバチが吐き出した水の蒸発をはやめるように、はねを扇風機がわりにして振動させているからでしょう。

 なお、穴にはふたがありませんので、まだ蛹になっていないのでしょう。


■キイロスズメバチ
 道ばたのノブドウの花にキイロの働きバチがきています(写真188)。えさになるような虫は見当たりませんので、花粉を食べるか蜜をむさぼっているのでしょう。

 体長は2.5cmほどでオオスズメバチよりかなり小さいですが、攻撃性は強いので気をつけましょう。

 巣は土中につくるオオスズメとちがって木の枝、崖、橋下、軒下などの開けた空間や、ときに屋根裏などに巨大な卵形のをつりさげます。



写真189、クマバチ
8月、熊内町7
写真190、ミツバチ
5月、舞子公園


■クマバチ

 体は2cmあまり、丸々とした体にふさふさとした黒い毛をまとい、名にふさわしい姿のクマバチ。スズメバチのようにミツバチの巣を襲うようなことはせず、見た目ほどに恐れることはありません。
 
 花にきて幼虫の餌にする花粉だんごの材料を集めているのでしょうか(写真189)。

 このアベリヤの花のように、細長い筒状花から蜜を集めるときは正攻法(せいこうほう:ま正面からアタックすること)は通用しませんので、横から穴をあけて失敬します。こんな場合は蜜だけ横取りされ、花粉の媒介(ばいかい)には役立ちません。

 幼虫は樹胴に掘られたトンネルの中で育てられます。


■ミツバチ
 蜜の利用は古くエジプト時代にさかのぼり、日本では7世紀ごろから行われ、本格的な養蜂(ようほう)は明治にはいり、ヨーロッパからの品種と日本種との交配種で広がっていきました。

 女王バチは1年に20万個もの卵を産み、5年もの長命を保ち、1つの巣に数万匹の雌の働きバチをひきつれた大きな社会集団をつくります。

 働きバチは蜜や花粉を集めてきて巣に帰り、有名な8の字ダンスで餌場のありかをなかまに知らせます。働きバチを刺激すると刺されますので気をつけます。

 写真のようにシロツメクサの花をはじめ、レンゲ、ニセアカシヤなどマメ科植物の花を好むようです(写真190)。



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