流れのなかの小動物(1)

 
 川底の土や砂、石ころ、それにひっかかった木の葉、朽木などにくっついたり、それらにまぎれ込んだりしている珪藻(けいそう)や緑藻(りょくそう)など小さな植物やゾウリムシやワムシなど小さな動物−これらは顕微鏡で見える世界−ひっくるめてミクロの世界に生きる生物−を食べて暮らしている2、3の小動物を紹介します。


ナミウズムシ
4月、生田川・苧川合流点
マネビル
7月、六甲川


 ■ナミウズムシ
 体は左右対称で、節も骨もなく筋肉層でできた扁形(へんけい)動物のなかまです。大きさは1cmあまり、夏のあいだは分裂法でなかまをふやし、ちぎれても再生するなど困難にめげずに耐久力があります。

 ふつう、ウズムシとかプラナリアと呼んでいます。見つかったら持ち帰り、再生実験してみよう。


 ■マネビル

 体は多くの節(体節)からでき、ミミズ、ゴカイ、ヒルなどのなかまをまとめて環形(かんけい)動物といいます。

 体の両端には吸盤(きゅうばん)があり、ミミズなどを餌にするそうです。運動により体の形が変わるので、いつもこの図のとおりではありません。

 背中に2本の縦線が走っているのはシマイビルといいます。どちらもイシビル科に属します。人の血を吸うのは、沼・水田にいるチスイビルや山にいるヤマビルです。


サカマキガイ
7月、六甲川
シロハラコカゲロウ
4月、生田川・苧川合流点


 ■サカマキガイ
 体に背骨のない無脊椎(むせきつい)動物のイカ、タコ、カイなどの軟体(なんたい)動物のうちの巻貝のなかまです。

 殻のてっぺんを上にすると殻の口は左を向きますのでサカマキガイといい、巻貝の多くは右を向きます。同じような大きさで右向きのはヒメモノアラガイで、やはり川でも見つかります。

 いずれも汚れた水に住みますので、水質を調べる時の指標(しひょう)生物のひとつとして扱います。


 ■シロハラコカゲロウ

 節足(せっそく)動物、昆虫網(こう)のカゲロウ目(もく)に属し、命はかないものの、代名詞のようになっているカゲロウのなかまのひとつ、兵庫県下には74種類も知られています。

 幼虫の腹部は7節で、うち胸に近い方から7節目までに葉っぱの形をしたえらをつけ、水中で呼吸します。えさは石にくっついた珪藻(けいそう)のなかまです。尾は3本ありますが、真ん中の1本は短いです。脚(あし)のつめは1本で、他の水生昆虫が2本あるので、その違いがはっきりしています。


ミドリタニガワカゲロウ
4月、生田川・苧川合流点
シロタニガワカゲロウ(亜成虫)
4月、生田川・苧川合流点

 
 ■タニガワカゲロウ(幼虫)
 ほかのカゲロウの幼虫とちがって、頭でっかちなのが特徴です。3本の尾は同じ長さで、脚の表はまだらのもよう、そして葉の形をしたのと枝状をしたえらがセットになっているのもよい目印になります。

 ながれのややゆるいところで、下流から上流へと広い範囲に住んでいます。


 ■タニガワカゲロウ(成虫)

 幼虫は長いあいだ水中の生活をしますが、水辺にあがって羽化(うか)すると餌もとらず、やがて交尾、産卵すると、3、4日で短い一生を終えます。

 幼虫の脚はつめが1本ですが成虫では2ケあります。翅を見てください。まえのはねは大きくて立派ですが、後ろのはねは小さくて申しわけ程度についています。


写真548、チラカゲロウ
5月、住吉川
写真549、エルモンヒラタカゲロウ
5月、住吉川

 
 ■チラカゲロウ
 さきのコカゲロウにごく近いなかまで、なかなかスマートな体つきです(写真548)。

 写真では分かりにくいですが、前脚には長い毛が前方に向かってたくさん生えていますので区別できます。


 ■エルモンヒラタカゲロウ

 尾の2本、よく目立つ葉っぱ状のえらには赤っぽい斑点がたくさんあるのでほかのと区別しやすいです(写真549)。


写真550、フタスジモンカゲロウ(幼虫)
6月、住吉川
写真551、フタスジモンカゲロウ
6月、生田川


 ■フタスジモンカゲロウ(幼虫)
フタスジモンカゲロウ
6月、生田川・苧川合流点
 カゲロウのなかまの幼虫では体の大きいほうで2cmほどになります(写真550)。触覚、脚、尾などにも毛が多く、二又したえらは小枝状です。


 ■フタスジモンカゲロウ(成虫)
 カゲロウの羽化は5月を前後しますので、英名はMay Flyです(写真551)。私はまだ飛んでいるところを見ていませんが、群れて飛んでいるときは視界をさえぎるほどといいます。

 谷川の魚を釣る擬餌(えさに見せかけた仕掛け)は、この成虫の姿をヒントに作られています。(May Flyは5月の虫)



オオヤマカワゲラ
4月、生田川・苧川の合流点
写真552、オオヤマカワゲラ(幼虫)
4月、生田川


 ■オオヤマカワゲラ

 水生昆虫のなかでは、ヘビトンボのなかまについで大型で3cmほどにもなりますから迫力があります(写真552)。胸の3対と腹端の尾の間に糸状のえらがあります。

 兵庫県の主な河川からは123種類も発見されているとても大きなグループのひとつです。カワゲラのなかまは翅のある昆虫では最も原始的で、生きた化石昆虫の感じです。



モンカワゲラ
2月、生田川・苧川の合流点
写真553、モンカワゲラ
2月、生田川


 ■モンカワゲラ

 カゲロウのなかまとよく似ていますが、脚のつめは2本に分かれていて、1本しかないカゲロウと大きく異なります(写真553)。また、尾は必ず2本です。ただし,カゲロウの多くは3本ですが、例外としてヒラタカゲロウのように2本のこともあるので注意が必要です。その他、えらの形、つく場所なども違いますからよく調べましょう。

 さきのオオヤマカワゲラとの違いが分かりますか?モンカワゲラには尾のあいだにオオヤマカワゲラのようなえらがありません。



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