ほかの夏草

 
 キク科以外の夏草を分類順に少しとりあげます。



写真251、ビロードモウズイカ
7月、味泥町
写真252、オランダハッカ
7月、住吉川


■ビロードモウズイカ

 「ここは日本?」とたずねたくなるような風景に写りました(写真251)。春のオオイヌノフグリと同じなかまのゴマノハグサ科で、ヨーロッパ原産の帰化種です。

 牛の舌のようなロゼット葉で冬を越し、人の背丈を超えるほどに成長して、夏から秋にかけ高いタワー(tower)に黄色の花を下から上へと咲き昇らせます。葉は厚くて白い軟らかい毛が密生して、まさにビロード(veludo:ふさふさとした毛)のようです。


■オランダハッカ
 葉をつまむとよい香りのするハーブ(herb)です(写真252)。ハッカのなかまのオランダハッカはヨーロッパ原産です。茎は4角形、葉は対生につき、花は筒の長い口びる型のシソ科です。日本に古くからあるハッカは葉のつけねに輪になって花をつけますが、このオランダハッカは茎や枝の先に穂状につけるので区別します。



写真253、ワルナスビ
6月、小野柄通2
写真254、コニシキソウ
9月、篠原本町5


■ワルナスビ

 名のとおりファミリー(family:科)はナス科で、ナスやトマト、ジャガイモの花とよく似ています(写真253)。ワルナスビは北米の原産です。「きれいな花にはとげがある」とはこれのこと、小づくりできれいな花ですが、茎・葉・花にまで強力な刺で武装しています。

 地下茎はしたたかもので、いったん根づくと駆除するのがやっかいです。


■コニシキソウ

 人の歩くところなら敷石のすきまも埋めるほどに人なつっこい草で、根元から枝を多く分け、地面を這うようにして広がっているのを見ます(写真254)。道ばたのエノキグサ同様、トウダイグサ科のなかまで、これは北米の原産です。茎を切ると牛乳のような汁を出します。対生した葉は暗紫赤色の小斑点を一つつけています。

 日本に古くから入っていたニシキソウは、このコニシキソウに追いやられ、県内では少し残っているようですが、いまは神戸での記録はありません。
 
 また、コニシキソウに対し、同じ北米からのオオニシキソウもありますが、これは大きくて立ち上がります。



写真255、ミヤコグサ
6月、熊内町2
写真256、シロバナシナガワハギ
6月、小野浜町


■ミヤコグサ
 地下に水道施設のある芝生地に一面に広がり、黄花をまき散らしているのはミヤコグサで、マメ科の多年草です(写真255)。花は枝先に1〜3ケずつつけ、4〜10月にかけて咲きます。

 近年、セイヨウミヤコグサがヨーロッパからはいってきましたが、これは枝先の花が数ケと多くなっています。


■シロバナシナガワハギ
 同じマメ科で中央アジアが原産の飼料作物が野生化して広がったものです(写真256)。草丈は人の背丈ほどにもなります。よく似た花で、黄色のはシナガワハギ(品川萩)で、昔、関東の品川地区で見つけられたものです。



写真257、オキジムシロ
5月、狩口台3
写真258、マルバマンネングサ
6月、青谷町4


■オキジムシロ
 ヨーロッパ原産のバラ科の一年草、または二年草です。小葉が浅く裂けた羽状の葉のつけねから一つずつ花をつけます(写真257)。

 似たものが日本の在来種としていくつかありますが、それらはいずれも葉や花のつけかた(花序:かじょ)で区別します。


■マルバマンネングサ
 星型の黄色の花をいっぱい空にむけているのは、ベンケイソウ科のなかまのマルバマンネングサです(写真258)。葉は名のとおり丸くて厚く、多肉質の多年草(万年)です。

 葉を見て想像のつくことはなんでしょう。この草は乾燥に強いことです。これはコンクリートだらけの駐車場のへりですが、したたかに群れ、生え続けています。

 ヒートアイランド(heat island)現象で都市の気温が高くなっている対策に、このような草をグランド・カバー(grand cover)用として地表付近の温度をやわらげるのに役立ててはどうでしょう。



写真259、コモチマンネングサ
6月、狩口台3
写真260、ドクダミ
6月、西舞子2


■コモチマンネングサ
 普段は水の流れていないような溝辺に生えていました(写真259)。やはり、ベンケイソウ科のなかまですが、さきのマルバマンネングサよりは葉は細くて薄く、少し軟弱な感じの多肉・多年草です。葉は下の方は互生ですが、上の方は対生につきます。また、名の「子持ち」から連想されるように、葉のつけねにある、対になった小さい円形の葉のようなもの(肉芽:にくが)でなかまを増やすことができます。


■ドクダミ
 この花が咲いているときが梅雨です。大小4枚の白い花びらのようなものは総苞(そうほう)といって、葉の変形したものですから、がくも花びらも省略された「省資源」型の花です(写真260)。

 地下茎を含め、全草はいじくると悪臭がありますが、乾燥すると臭さは消えます。別の名をジュウヤク(十薬)というぐらいですから、昔から漢方薬として用いられています。



写真261、ヒナタイノコズチ
9月、篠原本町5
写真262、ホナガイヌビユ
7月、まや埠頭


■ヒナタイノコズチ
 日のよく当たる道ばたなどでよく見る夏草で、ヒユ科の多年草です(写真261)。

 花は目立ちませんが、これでも虫媒花です。花が終わると下向きになって花の軸に「ピタッ」とつきます。
 山の木陰に生えるのは葉の薄いイノコズチです。


■ホナガイヌビユ
 やはり、道ばたや空き地などでよく見るヒユ科の一年草で、アオビユとも言い、熱帯アメリカの原産です(写真262)。
 近年減少しているイヌビユは、葉の先が凹になっているので区別できます。



写真263、ホソアオゲイトウ
9月、城の内通4
写真264、スベリヒユ
8月、青谷町4


■ホソアオゲイトウ
 同じヒユ科で原産地も同じ一年草です(写真263)。背高く、茎の上部全体が長い穂状になっています。ホナガイヌビユに似ていますが、小さな実には1ケの長い苞葉がついていますので区別できます。


■スベリヒユ
 ヒユとついていますが、ヒユ科ではなく、非常に仲間の少ないスベリヒユ科です(写真264)。茎や葉が多肉質で、庭先のマツバボタンとよく似ています。

 黄色の花が終わると実ができ、よく熟したのを上をつまみあげますと「パカッ」と上下2つに分かれて、中から小さい種がいっぱいこぼれます。こういう果実を蓋果(がいか)と言います。蓋は「ふた」の意味です。



写真265、ヨウシュヤマゴボウ
7月、舞子坂3
写真266、ヨウシュヤマゴボウ
11月、野崎通2


■ヨウシュヤマゴボウ
 アメリカヤマゴボウともいい、北米原産の多年草です(写真265)。神戸ではこれを含めても2種類しかない小さなグループで、ヤマゴボウ科といいます。

 あとの一つはマルミノヤマゴボウですが、市街地では見られません。郊外の山際で、ごくまれにしか見つかりません。

 幅を利かせているヨウシュヤマゴボウは、秋には葉も実も見事に色づきます(写真266)。英名をInk-bushといい、染色に用いることもあるようです。




■オシロイバナ
 熱帯アメリカの原産で、園芸用として江戸時代より少し前から栽培されていたとされます。これも種類数の少ないグループの一つで、オシロイバナ科の多年草です(写真267)。

 いまでは、人の手から離れ、空き地や荒れ地にもはみ出して野生化しています。花の色は赤、ピンク、黄、白といろいろで、いずれも夕刻から翌朝にかけて咲きます。

 花ができるときの色を現す遺伝子の突然変異の結果、一つの枝で花の色が違うことがあるようです。みなさんも調べてみてください。

 なお、夕方から咲いてあくる朝しぼむ花は、何が花粉を運ぶ役をしているのでしょうか。

 熟した黒い種をつぶすと化粧品のおしろいに似た粉ができます。



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