オキナグサ(5月)

 オキナグサは人を引きつける草です。以前は草刈り山によく生えていましたが、今ではほとんど見ることのできない絶滅の心配のある植物になってしまいました。

 宮沢賢治もオキナグサを愛し、童話「おきなぐさ」を書いています。賢治の童話とダブらせながら見ていきましょう。

1. 岩手県ではオキナグサを「うずのしゅげ」と呼んでいたそうです。今もそうだと思います。うず・おずはおじいさん、しゅげはひげ、つまり、おじいさんのひげということで、名がついたのでしょう。
[養父郡関宮町、1995.5.16.]

 種子が飛ぶときのようすを次のように書いています。「星がくだけて散るときのように、からだがばらばらになって一本ずつの銀毛はまっしろに光り、羽虫のように北の方へ飛んでいきました。」

2. 花はつやのある渋みのある花だといえます。
賢治は「やさしい若い花」と言っていますが、花の色はがく片の色で、花弁ではありません(がく片は6)。賢治によると花の下をアリが頻繁に往ったり来たりしていると書いています。

[六甲山高山植物園、1987.4.18.] [1995.5.16.]

・ 花は横を向いて開きはじめます。

・ 花が終わると花軸はまっすぐのび、30−35cmにもなります。

3. 一輪の花の魅力にとりつかれた「山男」のようす、旅立ちを見送ったヒバリ、最後は宇宙に飛び、星になっていくとイメージする、賢治の世界が書かれています。


[果実]

・ ヨーロッパに分布するオキナグサのなかまです。ブルサティラ・ブルガーリス。


[六甲山高山植物園、
1995.4.20.]


  • 果実は風で飛ばされ、分布を広げます。

4. 現実の世界にもどって、キンポウゲ科の植物を観察すると有毒なものが多いにもかかわらず、その不思議な花などにひかれます。(また別に取り上げます)。


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