神戸の自然シリーズ10 六甲山のブナとイヌブナ林
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イヌブナ林の植物たち 1ー落葉樹の多い高木層(2)
                    (高さ10メートル以上)



ミズナラとコナラ(ブナ科)
 ミズナラはブナ、ミズナラ帯といわれ、日本の温帯林を代表する落葉樹です。コナラとは高さや樹皮など決め手になる特徴は非常によく似ていますが、葉のつき方と大きさが違います。ミズナラは葉柄がほとんどなく、パッと手の平を拡げたように大形の葉が枝の先につきます。

 コナラの葉は葉柄があり、小さいです。

写25.ミズナラの大木
 ミズナラはブナと同しように北日本に多い木ですが、コナラは北海道の1部をのぞいて日本全土に生えています。六甲山でもコナラは麓から山頂まで生えていますが、ミズナラは中腹以上です。これまでミズナラは、六甲山では700メートルぐらいから出はじめるとされていましたが、私たちの調査では、本庄山の中腹450メートルでみつけたのが、最も低い自生地でした。

 コナラもミズナラも、ともに伐採跡や山火事跡に、いち早く進出してくる生命力の強い木です。ミズナラは材の中に水分が多く含まれていることから、ミズナラの名がつきました。火事のときなども燃えにくいので、山火事にあっても、ほかの木よりも早く回復するそうです。

ウラジロガシとシラカシ(ブナ科)
どちらも常緑のドングリをつくるカシです。常緑のカシの仲間ではもっとも高い所までのぼっている種類で、イヌブナと似た高さに生えています。

 ウラジロガシは、葉の裏が白く、シラカシは材が白いのでこう呼ばれています。しかし両種は区別がつきにくいものです。葉の形は、典型的なものでは、ウラジロカシの葉は薄く、少しちぢれ、シラカシはやや厚いので区別はつきますが、山でみると、生えている環境によって、いくらか変形しますので、ややこしくなります。

 枝と葉の裏の色がきめてになります。

 六甲山のイヌブナ林には「シラカシよりもウラジロガシのほうを多く見かけました。ウラジロガシは400メートルぐらいから850メートルもの高さまで生えています。
アカガシとアラカシ(ブナ科)
 アカガシとアラカシもまたよく似た木です。この2つのカシは、樫と書く字にふさわしく木も大きくなり、葉の緑も濃く、常緑で、そして葉の大きさも中形です。

 この両種の見分け方のポイントは葉にあります。アカガシの葉の縁には細かな切れ込みがなく(全縁)、長い葉柄です。これにくらべてアラカシの葉は小さなギザギザの切れ込み(鋸歯状)があり、短い葉柄です。何よりも違うのは、生えている高さで、アカガシは、ウラジロガシほどの高さまで登り、六甲山では北斜面でも南斜面でも870、880メートルの高さにも生えています。多いのは500ートルぐらいから800メートルにかけてイヌブナと似た高さに生えるカシです。

 アラカシは中腹より麓に多くほぼ600メートル以下ですが、六甲山のアカマツやヤシャブシなどの砂防林の中にどんどん入ってきています。常緑カシの仲間ではいちばん仲間を増やす能力に恵まれているのではないでしょうか。

 アカガシとアラカシとの自然交雑種が六甲山にもできており、どちらになるのかわからない木をみることがあります。

力工デの仲間
 カエデ(モミジ)の紅葉の美しさは、ここで拙ない文で書くまでもなく、みなさんはよくご存知でしょう。花以外の美しさで、これぐらい好かれている植物は珍しいのではないでしょうか。カエデは北半球の温帯林の代表的な植物です。サトウカエデのように樹液から糖分を採取するものもあり、カナダでは国旗になっています。

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