神戸の自然シリーズ10 六甲山のブナとイヌブナ林
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イヌブナ林の植物たち 1ー落葉樹の多い高木層(3)
                    (高さ10メートル以上)



イロハモミジ (カエデ科)
 六甲山のイヌブナ林でふつうに生えているカエデにはどんな種類があるでしょうか。まずモミジらしいモミジといえばイロハモミジです。赤ちゃんの手の平をひろげたように葉は深く、5〜7つに切れこんでいます。切れこんだそれぞれの裂片にも、小さいぎざぎざの切れこみ(重鋸歯)があります。花は春、若枝の先にうすく絵具で色をつけたように咲きます。枝先につく10数個の花にはそれぞれ、がく、花びら5個、おしべ8本があり、4〜6ミリの小さいものです。をもった果実は、9〜10月に成熟します。その年にできた枝は緑色ですが、2年目からは緑灰色になります。樹皮は暗褐色で平滑です。木は10メートルをこす高さに、胸高直径も50センチぐらいになります。

 イロハモミジは変種が多く、家庭でもひろく植栽されています。六甲山にあるオオモミジとヤマモミジも、イロハモミジの変種です。

 オオモミジは名のとおり葉はやや大形で、6〜12センチあり、切れこみも7〜9裂と多いが、切れこみの程度は中ほどまでです。翼果はイロハモミジが1〜1.5センチであるのにくらべ、2〜2.5センチと大きくなります。

 ヤマモミジは、葉の大きさは5〜10センチで、5〜9裂しますが、いちばん多いのは7裂です。それぞれの裂片は、せまい卵形程度にふくらんでいます。翼果は1.5〜2.5センチです。
図5.右からイロハモミジ、ヤマモミジ・オオモミジ


チドリノキとウリカエデ(カエデ科)
 イロハモミジやハウチワカエデを典型的なカエデとみるならば、これから紹介するチドリノキとウリカエデは、はぐれ者のカエデといえるでしょう。この2種はともにカエデ特有の葉の切れこみがないのです。

 チドリノキはサクラの葉のような普通の形の葉で、葉の側脈は18〜23対もあります。葉だけでは、カエデ科とは気付きにくいのですが、実は翼果で、カエデ科の特徴がよくわかります。花も若い枝の先に10数個つき(散状花序)、花びらは淡い黄緑色です。

図6.チドリノキ(左)とウリ力工デ(右)
 木の高さは10メートル前後で、胸高直径は30〜40センチになります。樹皮は黒赤色で、平滑です。

 ウリカエデの葉も切れこみはありませんが、たまに葉の基部が浅く3裂するものもあります。葉は卵状ですが、葉のヘリは少しうねっています。花は淡黄色で、カエデ科特有の散状花序ですから、春の開花期にみると、カエデ科だとわかりますが、葉はふつうの単葉なので見なれるまでは驚かされます。実も翼果で、ほぼ1直線に開いています。木の高さは10メートルまでの中高木で、胸高直径は5〜10センチの小ぶりの木です。

 小枝の色がウリに似た緑色であることからウリカエデの名がつきました。樹皮は緑がかった灰褐色です。


ウリハダカ工デ(カエデ科)
 ウリカエデとはちがって、この葉には、浅いが切れこみが3つ、葉の上部にあります。葉全体は5角形で、厚地で細かに、しわ状の葉脈が数多く刻まれています。ウリカエデと葉の形は違いますが、枝が緑色である点が共通します。ウリハダカエデの樹皮は黒味がかった緑色です。秋の黄葉から紅葉へ変わるのが見事で、散る前には色鮮やかな真紅の葉になります。花は淡い黄緑色で、実はほとんど直線に開いています。

 木の高さは10メートル前後で、胸高直径は25〜30センチになります。生長が速いので、若い木の林内ではよく目立つ木です。谷沿いや、斜面の日当りのよい所によく生えています。

イタヤカ工デ(カエデ科)
 この木の葉も一目みたら、すぐイタヤとわかる特徴をもっています。葉の切れこみが浅いので各裂片は三角形をして、その先端はピツと細く尖っています。葉の表面には、ほかのカエデにはない艶があります。花は黄緑色でたくさんの花が束ねたように枝の先につきます。

 木は大きく、20メートルぐらいになり、胸高直径も50〜60センチと大木になります。イタヤは、材として利用範囲がひろく、各種の家具やバット、ラケット、ピアノなどにも使われます。樹皮は甘く、さとうをとったり、タバコの香料に使われたりします。
図7.ウリハダカエデ(左)、
 イタヤカエデ(右)
図8.カジカエデ(左)と
       コハウチワカエデ(右)

コハウチワカエデ(カエデ科)
 葉の全体の形は円形で、7〜11裂の切れこみがあります。大きさは6〜8センチで中形の大きさです。イロハモミジと間違えそうですが、違うところをあげますと、1、葉の基部葉柄のつくところ)は浅くくぼみます。2、葉の裏の葉脈にそって毛があります。花の色は淡い黄色です。3、実の色は互いにほぼ直線状(180度)です。木の高さは5〜10メートルで樹皮は灰色がかった青褐色です。

 名はハウチワカエデに比べて葉が小さいという意味です。

カジカエデ(カエデ科)
 今回私たちが六甲山では初めて発見したカジカエデについては、すでに「イヌブナ林での新発見」47ページで紹介しました。


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