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いろいろな動物の卵は結構大きく、よく観察対象になります。でも精子は小さいことと手に入れにくいことから、あまり観察対象になりません。その点、魚は精子の観察にはよい材料です。タナゴがあつかいやすいので、ここではヤリタナゴを使って精子の観察方法を解説します。近くの川でタナゴのなかまが採れたら、飼育を続け、時期が来れば観察にチャレンジしてみてください。
なお解説は、動画と写真・文章の両方で行っています。
<準備物>
- 飼育中のタナゴのオス(婚姻色が出ている個体が必要)
- 生理食塩水(作り方は最後にあります)
- シャーレ
- 顕微鏡(400倍以上)
- パラフィン
- ピペット
- 細い試験管または遠沈管
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<動画による観察方法の解説>
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ヤリタナゴの精子の観察方法解説 (大きな動画:640×480、34.4MB) |
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ヤリタナゴの精子の観察方法解説 (小さな動画:320×240、12.9MB) |
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<観察方法の解説>
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1.ヤリタナゴの飼育
タナゴが成熟して婚姻色が出るまで飼育する必要があります。写真ほどの飼育装置はいりませんが、水温が上がりすぎないように日の当たらないところで飼育しましょう。 |
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2.婚姻色が出たオス
当たり前のことですが、精子はオスから取ります。オスは成熟すると色が濃くなり、赤や緑の輝くような色になります。これが婚姻色です。このような状態になったオスを使います。 |
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3.生理食塩水で体を洗う
精子を長時間生かすためには生理食塩水の中に取り出す必要があります。そこで、魚の体も生理食塩水で洗います。数回水を切って洗ってください。 |
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4.生理食塩水中にねかせる
シャーレの中に生理食塩水を入れその中にヤリタナゴをねかします。体が乾いて弱らないように、時々生理食塩水をかけてやりましょう。 |
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5.腹部をかるく押さえる
肛門よりやや前の下腹部を矢印のようにかるく押さえてさすります。強く押さえすぎないようにしてください。 |
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6.精子が放出される
ひゅっと精子が飛び出します。飛びだした精子をピペットで生理食塩水ごと吸い取り、細い試験管(または遠沈管)に移します。 |
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7.スライドグラスにのせる
パラフィンを加熱し、スライドグラスの上に4カ所滴下し、その上にカバーグラスを置いて押しつけ、パラフィンが固まるのを待ちます。スライドグラスとカバーグラスの間にすき間がある状態にします。最後に試料に対し3倍量の飼育水を加えると活発に泳ぎはじめます。 |
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8.検鏡する
精子は非常に小さいので、400倍にしても小さな点が動いているようにしか見えません。精子が泳ぎ続ける時間はそう長くはありません。下記の観察例を参考にしてください。 |
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<観察結果例>
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ニッポンバラタナゴ精子の運動性の観察
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3倍量の飼育水を
加えたあとの時間 |
運動性(20±1度) |
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| 30秒 |
50%+++、45%++ |
| 1分 |
20%++、75%+ |
| 1分30秒 |
10%++、85%± |
| 2分 |
45%±、50%− |
| 2分30秒 |
95%− |
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+++:きわめて活発、++:活発、+:緩慢、±:旋回または振り子運動、−:運動なし
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<参考:生理食塩水の作り方>
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コイ科用の生理食塩水は以下のようにつくります。
- 0.44g NaCl
- 0.62g KCl
- 0.022g CaCl2
- 0.008g MgCl2
- 0.020g NaHCO3
以上を水に溶かして100 ml にします。
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<参考文献>
森沢正昭・星元紀編(1992) 精子学.東京大学出版会.
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