神戸の自然シリーズ11 神戸港のプランクトン
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鞭毛藻類/渦鞭毛藻類(べんもうそうるい/うずべんもうそうるい)
鞭毛藻類(ベんもうそうるい)
 採集して間もない試料を顕微鏡でのぞいていると、ケイソウに混じってベン毛を用いて上手に動き回っているプランクトンが見つかる。ゆっくり螺旋を描くように回転しながら泳ぐものもあれば、スピード競技でもしているようにすばやく視野を横切るものもある。形も宇宙ロケットかUFOを思わせるものや、ナスに翼が生えたようなユーモラスなものもあり、観察していて実に楽しい。ここでは、神戸港で比較的よくみつかる鞭毛藻のいくつかについて紹介する。


渦鞭毛藻(うずべんもうそう)
 渦鞭毛藻赤潮の発生にかかわる種類が多い。魚貝類を死なせたり、二枚貝の毒化を起こしたりする有毒プランクトンは、この仲間に含まれている。

 渦鞭毛藻には、ゴニアラックスやプロトペリディニウムのように細胞が多数のセルロース性の殻でおおわれたものと、ポリクリコスのように無殻のものがある。体には、赤道部をとり巻く横溝と腹面の縦溝があり、それぞれの溝に沿って鞭毛が1本ずつ生えている。横溝鞭毛は波状で、縦溝のものは後方へ真直ぐ伸びている。細胞内には、黄褐色ないし暗褐色の色素粒を含んでいて独立栄養を営んでいる。しかし、夜光虫のように独立栄養を営まず、ケイソウや他の鞭毛藻を食べたりするものもある。

 渦鞭毛藻の仲間は、植物として扱われるときには渦鞭毛藻綱に入れられるが、動物と考える場合は原生動物門鞭毛虫綱渦鞭毛虫目として分類されている。


夜光虫 Noctiluca miliaris
ケイソウを食べた夜光虫

 細胞は直径150〜2000ミクロンと大きいので、ビーカなどに入れてすかして見ると肉眼で確認できる。背面から見ると球形であるが、側面からはややナス形に見える。腹面の中央部は前から後まで凹んでいて、縦溝ができている。その最も深く入り込んだ奥に口があり、ここからケイソウなどを体内に取り込む。口の一端には1本の長大な触手があって、常にゆるやかな運動をしている。顕微鏡下でこのようすを見ると無気味な感じさえする。

 原形質はうすい紅色をしており、海水1l当たり10,000細胞以上ふえると海面に色がつく。表層に集まりやすい性質があり、赤潮になるとトマトケチャップを流したような帯状の模様に広がることが多いが、水産上著しい被害は及ぼさない。

 日本ではNoctiluca miliarisN. scintillans の両方が混同されて用いられているが、両者は同一の種に与えられた名である。ヨーロッパでは前者が用いられている。これは後者の未使用期間が長かったために、遺失名として処理されているからである。ちなみに属名のNoctiluca は「暗所で光る」という意味である。

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