 |
 |
 |
1.シダの根と気孔
|
 |
スギナの項で、スギナの仲間がもともと水草であったと考えられ、水辺の生活から陸上生活へとたどった植物の一つと考えられることを書いたが、植物が水中、水辺から陸に上がって生活するようになってきたことは植物体の構造にいろいろと大きな変革を生んだことになる。
植物体そのものだけに目を向けてみると、陸上の乾燥にも温度変化にも耐えられるように体の表面も内部の構造もつくり上げていかなければならなかった。
まず、考えられるのは根を発達させて、必要なとき必要なだけの水を根から吸収できるようにすることである。
ところで、シダ植物の根は種子植物の根と比べて発達していない。外部的にも特徴のない不定根である。根のつく場所もトクサ類のように根茎の節につくものもあり、節とは直接関係なくいたるところにつくものもある。ヘゴ類の根のように茎のまわりにいっぱいつき、それ自身が茎であるかのように見せかけているが、とにかく葉を支え、地中・空気中の水分を吸収する役割を果たしていることは間違いない。シダの多くが今でも湿ったところに生えているのは、シダの根の未発達さと関係が深いのではないだろうか。
次に、根から吸収された水は植物体の裏面から勝手きままに蒸発していったのでは困る。勝手に蒸発しないような丈夫な膜または表皮(クチクラ層)をつくらなければならない。と同時に、吸収しすぎた水、余分な水は外部に出さなければならない。その調節の役割を果たすところが必要となる。それが、葉の裏面に多い気孔である。気孔では水分の蒸散の調節をしていく。
ところが、陸上に上がった植物は動物と違って自己の生命、種族の生命を維持するために必要な光や二酸化炭素をもとにして光合成を営んでいる。呼吸には酸素が使われる。それらの気体の出入りロとその調節をしているのがまた気孔である。
シダの中では、水分を調節するために、気孔のほかに、ノキシノブなどは葉脈の先端近くに水孔という気孔に似た構造の器官で水を排出する孔がある。水孔は気孔と違って、特殊な細胞の肥厚も見られず、開閉運動もしない。
湿地や水中に生える植物の気孔は水分の蒸発が行われやすいような気孔のつくりをし、反対に乾燥地に育つ植物では、気孔は蒸散を少なくするために孔辺細胞が葉の表面より奥深く入りこんだり、気孔の周囲にろうの輪などがあって蒸散を防ぐようになっているものさえあるなど、自生環境に適応していくための構造を持つようになっている。
実際にシダの気孔をとりまく細胞を見ていくと種類によってさまざまである。気孔がほとんど1つの細胞に囲まれているもの、すっかり包まれているもの、ほぼ半々に2つの細胞に囲まれているものなど、気孔をとりまく表皮細胞はいろいろで、気孔の葉面への分布のしかた、気孔の形・大きさも各種さまざまである。
調べたうちの数枚の写真をあげておこう。
|
さまざまの気孔(1)
|
| ■孔辺細胞は1つの細胞に完全に囲まれる |
■気孔の分布するところが帯状になる |
 |
 |
Anemia rotundifolia(小倉より)
|
シシガシラ
|
| ■孔辺細胞は1つまたは2つの細胞に囲まれる |
 |
 |
ベニシダ
|
オオベニシダ
|
| ■孔辺細胞は数この細胞に含まれる |
 |
 |
カニクサ
|
マメヅタ
|
さまざまの気孔(2)
|
 |
 |
イノデ
|
イヌガンソク
|
 |
 |
ノキシノブ
|
コモチシダ
|
 |
写真はすべて
300倍で検鏡した |
ヤブソテツ
|
|
|
|