神戸の自然シリーズ3 神戸のシダ
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専門的な用語の解説

 神戸の自然シリーズ「神戸のしだ」原著に登場する専門的な言葉を解説しました.

 シダに関する専門用語のいくつかは聞き慣れないものが多くあります.著者は本文各所にこれらの用語の図説を行っています.この用語解説集からも,本文の該当カ所にリンクが張ってありますので,ご利用ください.


用語 読み方 意味
維管束 いかんそく 根から吸い上げた養分や水分が通る管(道管)や,葉でつくられた栄養分が通る管(師管)などがたくさん集まって束になった部分のこと.根,茎,葉の中を通っている.
羽軸 うじく 葉身全体の軸になるところを中軸といい,さらにつけた羽片が切れこんだ葉をつける場合,その軸を羽軸という.
羽状複葉 うじょうふくよう 小葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき,全体として1枚の葉を形成しているもの.
羽状分枝 うじょうぶんし 羽状に分かれていること.
羽片 うへん 中軸から両側に出ている葉の切れ込みの部分.
栄養葉 えいようよう 裸葉ともいう.胞子をつけない葉のこと.
花穂 かすい 一本の軸(花軸)に群がるように付いているような花全体を指す言葉.
仮道管 かどうかん 裸子植物やシダ植物の木部の主要素.水分などの通路となる細胞壁の肥厚した組織.道管に似るが,隔壁にあながない.
花被 かひ 花冠とがくの区別がつかないような花において,これらをまとめて花被(かひ)とよぶ.
花弁 かべん 花びらのこと
夏緑性 かりょくせい 落葉性.夏の間緑の葉をつけるが秋になると落葉すること
環帯 かんたい シダ植物の胞子のうの外側にある厚い細胞壁を有する一列の細胞.成熟した胞子をはじき出すはたらきをする.
擬包膜 ぎほうまく 葉の縁が反り返り,縁につく胞子のう群を筒む膜状のもの.
休止芽 きゅうしが 寒さなど,条件の悪い時期を乗り切るために一時的に発育を停止している芽.
極盛相林 きょうくせいそうりん 森林の構成樹種は,時間とともに変化していくが,ある状態になるとそれ以上大きな変化をしなくなる.そのような状態のこと.極相林.
鋸歯 きょし へんぺいな葉の縁につくノコギリ状のきざきざのこと.
車座 くるまざ 輪状になってならんでいること.
原生木部 げんせいもくぶ 形成層という細部分裂をし新しい組織を生み出す部分から,一番はじめにできてきた木部のこと.
後生木部 こうせいもくぶ 原生木部から引き続き作り出された木部.
高木層・高木 こうぼくそう 森林を高さに沿って水平に区分したとき,最上部で,10mを越える最も高い木がある領域
厚膜組織 こうまくそしき 細胞壁が厚くなって木化し,植物体を支える役割をする組織.
互生 ごせい 葉や羽片が一カ所から一枚ずつ,たがいちがいに出ている状態.
根茎 こんけい 根のように見える茎(地下茎)のことをいう.地中で横にのびる.ハスのレンコンの部分など.
三回羽状複葉 さんかいうじょうふくよう 二回羽状複葉羽軸からさらに羽軸が分枝し,その両側に切れ込みがあるような複葉.
実葉 じつよう 胞子葉ともいう.胞子をつける葉のこと.
師部 しぶ 葉で作られた栄養分の通る管,すなわち師管が集まっている部分のこと.
小羽片 しょううへん 羽片がさらに羽軸の両側で切れ込んでいる場合,その部分.
照葉樹・照葉樹林 しょうようじゅりん 常緑広葉樹のこと.照葉樹林とは照葉樹を優占種とする樹林.クスノキ・シイ・ツバキなどで,葉は革質で光沢があるような樹種.
常緑 じょうりょく 冬になっても緑の葉をつけていること.
真のうシダ しんのうしだ 胞子のうの壁が数層の細胞からできているようなシダのこと.
全縁 ぜんえん 葉の縁に鋸歯や切れ込みがないこと.
前葉体 ぜんようたい 胞子が発芽してできる,造精器,造卵器をもつ有性世代の植物体(配偶体).
草本層・草本 そうほんそう 森林を高さに沿って水平に区分したとき,地面すれすれの高さの木の芽生えや草などの生えている領域.
側糸 そくし 包膜を持たないシダにおける,胞子を保護する糸状の構造物.
疎水 そすい かんがい用水・給水などのために造られた人工的な水路.
対生 たいせい 葉が1つの節から2枚出るようなつきかた.
托葉 たくよう 葉の付け根に生じる突起状,あるいは葉状の構造物.
単羽状 たんうじょう 単羽状複葉のこと.
単羽状複葉 たんうじょうふくよう 一回羽状複葉ともいう.中軸の左右の部分に切れ込みがあるような葉のこと.
弾糸 だんし スギナの胞子についている糸状の構造物のこと.
暖帯林 だんたいりん 温帯のうち,亜熱帯に近い地帯を暖帯といい,その地域に特徴的な樹林のこと.照葉樹林が中心と考えてよい.
単葉 たんよう 複葉に対して,葉身が一枚の続いた面の葉.
中軸 ちゅうじく 葉身全体の軸になるところを中軸という.
中心柱 ちゅうしんちゅう 維管束を含む内皮から内側の組織全体.
中肋 ちゅうろく 羽片中肋,羽軸ともいう.中軸から分枝した,羽片の中央を通る軸.
頂羽片 ちょううへん 一番先端部の羽片のこと.
つばさ 葉柄の部分にある平たく広がった構造物のこと.
低木層・低木 ていぼくそう 森林を高さに沿って水平に区分したとき,人の高さからせいぜい5mくらいまでの,ツツジ,ネズミモチ,ヒサカキなどの木がある領域
同化澱粉 どうかでんぷん 太陽の光をエネルギーとして作られたでんぷんのこと
道管 どうかん 根から吸い上げた水分や養分が通る管のこと.これがたくさん集まっているところを木部という.
内鞘 ないしょう 内皮のすぐ内側にある組織(柔組織)の1ないし数層をさす.
内皮 ないひ 皮層のうち,最も内側の層のこと.
二回羽状複葉 にかいうじょうふくよう 単羽状複葉の,中軸から分かれた羽軸の両側に切れ込みがあるような複葉.
配偶体 はいぐうたい 精子や卵子を作る有性世代の植物体.核相はn.前葉体は配偶体である.
薄のうシダ はくのうしだ 胞子のうの壁が1層の細胞でできているようなシダのこと.
被子植物 ひししょくぶつ 胚珠が子房で包まれているような花を咲かせ,種子で殖える植物.
皮層 ひそう 表皮中心柱の間の部分の組織をいう.
表皮細胞・表皮 ひょうひさいぼう 根・茎・葉などの一番外側の表面に位置する細胞のこと.
二又分枝 ふたまたぶんし 二またに分かれていること.
ほう 芽やつぼみをつつむような構造物のこと.
胞子 ほうし 新たな個体をつくり出すもとになる細胞で,ふつう袋(胞子のう)のなかにできる.発芽後雄・雌両方の器官をもったものと,雄・雌の器官が別々のものがある.シダやコケ,またカビ・キノコなどが持っている.
胞子体 ほうしたい 胞子をつける無性世代の植物体.核相は2n.
胞子のう ほうしのう 胞子を入れている袋状の構造物.
胞子のう群 ほうしのうぐん 胞子のうがたくさん集まったもの.
胞子葉 ほうしよう 実葉ともいう.胞子をつける葉のこと.
包膜 ほうまく シダ植物で胞子の集まり(胞子のう群)を包みこんで保護する膜のこと.
包膜下位 ほうまくかい 包膜胞子のう群を下(基部側)から包み込むような形式.
包膜上位 ほうまくじょうい 包膜胞子のう群を上(先端部)から包み込むような形式.
マツクイムシ まつくいむし マツを枯らす線虫(マツノザイセンチュウ)のこと.また時にはそのマツノザイセンチュウを媒介するカミキリムシ(マツノマダラカミキリ)のことをさすこともある.
脈理 みゃくり 葉脈のつながり方のこと.
無性芽 むせいが 栄養分をたくわえて太った芽で,落ちて新しい個体が生まれる.
網状脈 もうじょうみゃく 一度分枝しても再び多の脈と結びつくような葉脈のあり方.
遊離脈 ゆうりみゃく 枝分かれした後,再び結び目を作らないような葉脈.
葉隙 ようげき 維管束が茎から葉へ分枝する時,葉柄の基部にできる孔.
葉身 ようしん 葉の平たい部分を指す.
葉枕 ようちん 葉の付け根にあって,内部の圧力を調節して葉を動かすことを可能にした部分.
葉柄 ようへい 葉身と茎をつなぐ柄の部分.
裸花 らか がくや花びらのない花のこと.
裸葉 らよう 栄養葉ともいう.胞子をつけない葉のこと.
離層 りそう 落葉するときに,葉柄の付け根にできる特殊な部分で,ここから葉が離れて落ちる.
林床 りんしょう 森林の最下部.
鱗片 りんぺん 細かい鱗状の構造物.
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