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ベニシダ
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| −ありふれているが難解なシダである−(4月) |
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神戸の裏山ではどこにでも生えているもっとも普通のシダである。
4月から5月にかけて、大きな塊状の根茎から葉を一斉に出すようすは壮観である。春の新葉が出そろうまでは、前年度の古い葉は地上に残っているが、夏ごろには古い葉は地上にたおれ、新しい葉と完全に交代する。新しく出た葉はあざやかな緑色で、ややかたい感じがする。
若葉のころは全体が紫赤色から赤褐色である。それは葉はもちろん、葉柄、葉柄につく鱗片まで赤くなる。さらに胞子のうをおおう包膜も美しい紅色をしている。たしかにベニシダと呼ぶにふさわしいシダである(裏表紙参照)。
ベニシダの若葉を広げていくときの葉の色の変化はみごとである。葉(羽片)が広がっていくにつれて、広がった下部の羽片から順に黄味を帯びてくる。広がりきっていない羽片の縁はまだまっ赤である。葉を広げきるまで赤い葉柄と葉面の先端部・小羽片の縁の紅と、その他の部分の黄色とがみごとに調和し、展開していく。葉がほぼ緑になっていっても、包膜だけは赤味を帯びている。初夏のころ葉面が緑色一色になると、包膜の赤さも消え、他のシダとの区別がいよいよ困難になってくる。葉の全体の形が狭くて長いもの、反対に広くて短いものなど多くの形のものがあり、種類の多いベニシダの類は実際、正確に区別することほ大変困難である。
例えば、よく似たサイゴクベニシダは、新しい葉が出るときは黄味がかった白い軟毛状の鱗片をつけており、葉も包膜も黄味を帯びているので区別できるし、成長した葉ではベニシダやこの類の他のものと比べると鱗片が多く、葉柄・中軸ともに鱗片が密についていること、葉は黒っぽいほどの緑色を帯びていることなどで違いがわかる。
もっといろいろな点でよく似ているものにトウゴクシダやオオベニシダがある。トウゴクシダはベニシダの羽片がさらに深く切れこんだものであり、オオベニシダはベニシダと比べて葉の幅が広く、下部羽片は深く切れこんでいるなどで区別できるが、なれないうちは実物を手にして図鑑と首っ引で調べなければわからない。
そのうえ、このペニシダの類の仲間分けに入る前にまだベニシダとイタチシダの類との区別が必要なのである。
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おおまかなベニシダとイタチシダの区別点を挙げておこう。
- イタチシダの類は一般に葉柄に黒色または黒褐色の鱗片が密生する。ベニシダの方は黒褐色または褐色の鱗片であり、サイゴクベニシダ・マルバベニシダ以外は鱗片が密生することが少ない。
- イタチシダ類は最下羽片が一番大きく、とくにその下向きの第一小羽片は大きく突出する。ベニシダも多少この傾向はあるがイタチシダの類ほど極端ではない。
- イタチシダ類の葉はややかたい草状であるのに対して、ベニシダの方はややうすく紙状のものが多い。
第一話のシダの説明から、複雑な迷路に誘いこんだが、ベニシダの属するオシダ属のシダが少しわかってくると、前途には光がさしてくる。
ここでは図を見て、シダの部分の名称を知っていただきたい。
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| 葉柄の観察 |
| 長 さ |
・長いもの,短いものがある, |
| 太 さ |
・普通のものは細い. |
| 硬 さ |
・かたくて丈夫 イヌガンソクの実葉など.
・強い オシダ・カナワラビ・イノデ属のものなど.
・もろい シケチシダ・メシダ属のもの. |
| 色 |
・普通のものは茶褐色,黄褐色.
・紫黒色 クジャクシダ属.
・暗紫褐色から赤褐色 チャセンシダ・ハリガネワラビなど. |
| 形・溝 |
・丸い(ホングウシダなど)・四角形(エダウチホングウシダ).
・溝の深いものシケチシダ属. |
| 翼 |
・コケシノブ科,チャセンシダは翼がある. |
| 葉柄基部 |
・扁平状 ギジノオシダ・托葉状の翼 ゼンマイ.
・肥厚した葉枕リュウビンタイ. |
| 鱗片・毛 |
・普通は平面に広がる鱗片や細胞が1列の毛でおおわれている
(形・色・大きさは異なる).
・へゴの鱗片は棘状突起のさきについている. |
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シダの葉の働き
シダの葉には2つの働きがある.
第1は,水と空気中の二酸化炭素を材料に日光をエネルギーとした同化産物をつくる.第2は,胞子のうをつけて胞子をつくり,これを散布して次の代のシダをふやすことである.
多くのシダは,同じ葉でこの2つの働きをしているが,胞子のう群をつけた葉とつけていない葉は同じ形をしているので,その葉に胞子のう群がついているかどうかは,いちいち葉を裏がえしてみないとわからない.
しかし,そんなシダでも,胞子のう群のたくさんついている葉とついていない葉を比較してみると,よくついた葉はついていない葉と比べると葉柄が長く,葉身は長さの割に幅が狭く,葉肉の部分が縮小している傾向がある.
この傾向がさらに強くなるとハクモウイノデ・ハリガネワラビ のように胞子のうをつける葉は葉柄がうんと長くなったり,ヒトツバのように葉の幅がはっきり狭くなる.
裸葉(栄養葉)と実葉(胞子葉)に分かれるシダ
| シシガシラ・ゼンマイ・クサソテツ・コウヤワラビ・オサシダ・イヌガンソク・キジノオシダ・オオキジノオシダ・ミヤマシシガシラ |
裸葉・実葉が草丈・葉面の幅で区別されるシダ
| セイタカシケシダ・ハクモウイノデ・ヒメシダ・コバノカナワラビ・ホソバカナワラビ |
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