神戸の自然シリーズ16 神戸層群の化石を掘る
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アブラギリ属 Aleurites sp.


▲発見場所
兵庫区鵯台
の柱状図


▲葉は5つに分かれ、全縁。中央の切れ込み
に黒い丸点がみえる。これが腺点
▲図1.化石のアブラギリ属の腺点の
スケッチ。上の写真の腺点の部分
▲図2.現生のアブラギリ属の
腺点のスケッチ


アブラギリ属

 この化石の手がかりは、手をひろげたような葉の形である。葉の裂け方は、大きく5つに裂け、葉の基部はハート形で、葉の縁にはのこぎり葉がない(全縁)。フウ属やカエデ属との区別はのこぎり葉の有無でつく。

 現生のアブラギリ属はアジアの熱帯から暖帯にかけて約5種が分布している。

 アブラギリ属の化石は、白川累層上部より産出し、大きなもので20cmぐらいのものもあり、完全な形での産出は少なく、曲がりくねった状態で産出する場合が多い。

 実体顕微鏡で調べた化石の葉と現生の葉の細脈と腺点のようすをスケッチで示した。

 図1は化石の葉で、掌状葉の凹んだ部分である。特徴は、逆三角形の頂点部分に黒い丸い点がみられることで、これが腺点である。葉の細かい脈は葉の縁につきあたり、その縁にそってのびている。

 図2は現生のアブラギリの葉の同じ部分をスケッチしたものである。これには、化石のスケッチと同じ特徴がみられるが、化石の場合よりも、はっきりしている。

(トウダイグサ科 アブラギリ属 Aleurites Forst.)

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