神戸の自然シリーズ21 六甲山はどうしてできたか
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 NTT船坂無線中継所をあとにして、コンクリート道路を横切って全山縦走コースをくだる。杉林を抜け、雑木林もすぎると植林したばかりの所に出て、ぐっと視界が明るくひらける。

 西の奥池方面をみると、もう池の水面はみえないが、なだらかな平坦面は写真のようによくわかる。これに地質断面をつけると図のようになる。奥池から芦屋ゴルフ場にかけての凹地に地層が堆積したように思えるが、この地層の続きは意外にも甲山の周りにもある。ともにメタセコイアの化石を含む100万年も前の古い地層とそれをおおう新しい段丘堆積物でできている。

 奥池の平坦面は六甲上昇運動によって、500mもの高さに押しあげられたもので、さらに林山などは五助橋断層を境にさらに高く押しあげられた。


新しい植林地から西の奥池方面をみる


奥池付近の地質断面


五助橋断層の破砕帯を刻む谷

 奥池・芦屋ゴルフ場の平坦地と六甲山側とを区切る五助橋断層は、この地点ではどこを通っているか。

 植林地の急斜面の下に道路が白く光ってみえるが、それに並行して直線状の谷がある。道路を西へ追うと低い高まりの小笠峠を切るように延び、さらにこの凹地形は奥池に向う谷につながる。この凹地形と谷が五助橋断層そのものである。

 それではここから東へはどうなるか。植林地の真下の谷(断層)は、北東から東西方向に向きを変え、断層は谷と別れて行者山の北側を通って宝塚市内に抜ける。

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