オオカナダモを使った実験 神戸の自然シリーズ14 神戸の水生植物

 オオカナダモは理科の実験・観察材料としてよく使われる植物です.ここではオオカナダモを使った細胞の観察を中心に,その方法やポイント,あるいは実際の観察例を紹介しましょう.

 観察の紹介はすべて動画で,全部で9つ用意しました.それぞれの映像は大きなものと小さなものを用意しています.みなさん方の利用している回線の速さに応じて,使いやすい方を見てください.下の画像をクリックすると小さな画像が,文字の部分をクリックすると大きな画像が見られます.

 なお詳しい解説は下の方にしています.これもぜひ読んでください.

プレパラート作り

顕微鏡の使い方

葉の裏表

生きた細胞

原形質流動
葉の表側
原形質流動
葉の裏側
原形質流動
流動速度測定
原形質分離
×400
原形質分離
×1000
※大きな映像は 640×480 ピクセル,転送レート 1024Kbps の MPEG1 ファイルです.
※小さな映像は 320×240 ピクセル,転送レート 512Kbps の MPEG1 ファイルです.



<解説>
1.プレパラートの作り方
 オオカナダモの葉の観察をするためのプレパラートの作り方を解説しました.
  1. 葉を一枚ちぎってスライドグラスの上にのせます.
  2. 空気が入らないように水を十分含ませます.
  3. カバーガラスをななめの角度からかぶせます.
  4. かぶせたあとも,必要に応じてすき間に水をしみこませます.
  5. 最後にかるく押さえて,カバーグラスとスライドグラスの間に水が行きわたるようにします.
 ふくませる水は,映像にあるようにピンセットで運ぶと多くなりすぎずうまくいきます.


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320×240

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2.顕微鏡の使い方
 顕微鏡の使い方は,オオカナダモの葉を観察するときも,ほかのものを観察するときも基本は同じです.ここではオオカナダモの観察を例にして復習してみましょう.
  1. 対物レンズの倍率を10倍にセットし,ステージにプレパラートをのせ,固定します.
  2. 横から見ながらステージを上げ,プレパラートを対物レンズに近づけます.
  3. ステージを下げながらピントを合わせます.
  4. ピントがあったら,対物レンズを40倍に変えます.
  5. もう一度ピントを合わせます.

640×480

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3.葉の裏表に注意しよう
 オオカナダモの葉の細胞は2層になっています.このためとても観察しやすい材料です.でも,観察するときには,プレパラートの上側(対物レンズに近い側)にある層の細胞を観察するようにしましょう.ですから,裏側を見たいときには,裏側を上にしてプレパラートをつくらなければなりません.逆も同じです.

 オオカナダモの表側の細胞はやや大きく,裏側の細胞は細長く小さいです.プレパラートの作り方に注意し,のぞいた後ピントを動かせばすぐに分かりますので,観察する細胞を間違えないようにしましょう.
表側の細胞

裏側の細胞


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4.生きた細胞の観察
 細胞を生きたまま観察するのには,オオカナダモの葉は大変よい観察材料です.葉の表側の細胞がやや大きいので,倍率を上げてじっくり観察してみましょう.顕微鏡の力にもよりますが,いろいろなものが見えてくるはずです.

 動画では,微分干渉顕微鏡(びぶんかんしょうけんびきょう)という特殊な顕微鏡を使ったので,生きた状態の核が見えます.また葉緑体はもとより,原形質の部分にはミトコンドリアと思われる細胞内小器官なども黒い点として見えます.液胞は葉緑体などが自由に動こうと思っても何かが邪魔をしているように見える透明部分にあります.こういったことも時間をかけてゆっくりと観察してはじめて分かることです.


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5・6.原形質流動(葉の表側と裏側)
 オオカナダモの生きた葉を観察するならば,ぜひとも見て欲しいのが原形質流動です.オオカナダモに限らず生きた細胞は原形質が絶えず流動していますが,オオカナダモは葉緑体が原形質流動に伴ってよく動くので,とても観察しやすい材料です.

 原形質流動の観察は,葉の裏側と表側の両方で見てみましょう.葉の表側の細胞は厚みがあってずんぐりしていますので,葉緑体は液胞の間の原形質の通り道を吸い込まれるように動くことがあります.微分干渉顕微鏡で観察するとこれがはっきりと見えます.

 葉の裏側の細胞は細長く,どちらかといえばうすいので,葉緑体は平面的に細胞の周囲を回っているように見えます.


表側640×480

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裏側640×480

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表側320×240

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裏側320×240

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7.原形質流動の速度を測る
 原形質流動の速度を,葉緑体の動きから測定してみましょう.それには接眼マイクロメータと対物マイクロメータを使います.400倍で観察しますので,あらかじめ400倍における,接眼マイクロメータ1目盛りが,何μmになるかを決めておいてください(方法は教科書にありませんか?).

 この実験では,葉の裏側の細胞を使った方がうまくいきます.細胞が細長く,葉緑体が直線的に動いてくれるからです.観察する細胞が決まったら,右図のように,接眼マイクロメータの位置を細胞壁に添わせるように位置を決めてください.

 動画では,15秒間で16.5目盛り分葉緑体が移動していますので,

    16.5÷15=1.1 (目盛/秒)

となります.これが何μm/秒になるかは,各自で換算してください.


640×480

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320×240

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8・9.原形質分離を観察しよう
 原形質分離というのは,細胞の外側を浸している液の濃度が高くなったとき(浸透圧の高い溶液),細胞内の水が外に吸い出されてしまって原形質の体積が小さくなることにより,細胞壁から細胞膜が離れて細胞が小さく縮んでしまう現象です.これは細胞膜が半透性を持つ証拠とされています.

 実験方法は,やや荒っぽい方法ですが,簡単です.通常の方法でオオカナダモの細胞を観察し,見えたら,飽和食塩水(底に食塩が残っている食塩水の上澄みをとる)をスライドグラスとカバーグラスのすき間に垂らし,しばらく待つというだけです.食塩水がすき間にしみこんでいって見ている細胞の所までやってきたら,あっという間に細胞が縮んでしまいます.

 植物を塩漬けにすると,きっとこういうことが起きているんでしょうね.


高倍率640×480

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低倍率640×480

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高倍率320×240

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低倍率320×240

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オオカナダモの詳しいことは神戸の自然シリーズで調べよう.

先生方へ 本教材を使った研究授業のレポートがあります.参考にしてください.