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■4.カケス −貯食性と物真似
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1.神戸のカケス
カケスは「懸巣」と書く。どういう理由でこの名がついたのか知らないが、山の森を歩けばこの鳥の古巣によく出会う。かつて、六甲山の森で1日に18個ほどの古巣を見た。あちこち巣をかけまわるからとみたのであろう。なるほどとうなずける。別名「カシドリ」ともいうが、この鳥がカシの実、すなわちドングリをよく食べるからといわれている。
神戸で四季を通じてみるとカケスは秋に数が多い。高取山のような町に近い山や、西神戸の農村部の小さな森に姿を見せるのは秋と冬だけである。
初夏の繁殖期に入る頃には少し山へ入らなければ出会うことができない。再度山では中腹から山上にかけた範囲と裏側に少数のカケスが繁殖するが、丹生山などでもその数は少ない。カケスが多いのは六甲山、摩耶山の中腹から上の範囲で、この季節には数多く繁殖している。六甲山の南麓の市街地に接しているような所では、山上から飛んで来るものがときどき現われる。
秋の色が濃くなりはじめる10月頃、本州の寒冷地から渡って来るものが加わって一年のうちで最高に賑やかな季節となる。ときには林の中で50羽を越すような大きな群を見るのもこの頃である。高く澄んだ秋の空を峰から峰へ西をさして3羽、5羽と小さな群で渡って行くのをよく見かけるのも同じ頃である。ヒヨドリのように何十、何百というような大きい群はつくらず、いわゆる三々、五々という渡りである。カケスの渡りは11月後半の寒さが加わって来る頃にはこのような群は見られなくなる。12月になれば山で見るカケスの数はぐっと少なくなっている。神戸で冬越しをする個体を残して、多数のカケスはさらに暖地をめぎして飛び去り、渡りは終ったのである。それでも越冬する数は春や夏にくらべれば、ずっと多いから、神戸にとどまって冬を越す冬鳥的な個体もあることは確かである。春の渡りは、秋とちがって、ほとんどそれを感じることがなく終ってしまう。
真冬の六甲山上の数は夏とあまり変化しないが、日によっては少ないこともある。山上が雪や氷に被われるような日にはたしかに数は減っているが、気象変化のない日でも非常に少ない日がある。一時的に山麓へ移動しているらしい。鳥にとって山麓は、ほんのひとっ飛びの距離である。山上から谷にそって一気に麓へ飛び下りて行くのを何度か見たが、テリトリーのはっきりしない冬は行動圏が広範囲に及ぶのであろう。六甲山上の気候条件は、本州北端か、北海道の南端に相当するという。それらの地方の大部分のカケスが南へ移動しなければならないのにくらべ、六甲山上は東北や北陸のように雪が多くないし、また降っても山を下れば寒さを避け餌も探せる。わずか数分にして東北と関西を往復することも可能であるから、山上に留まっていても何の心配もないのである。
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