神戸の自然シリーズ6 神戸の野鳥観察記
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■5.ヒヨドリ −圧倒される大群の渡り

1.神戸のヒヨドリ

 ヒヨドリは神戸の野鳥の中ではスズメのつぎに多い鳥である。町の中でも、山の中でも、一年中、特有の甲高い声が聞かれる。

 「ピィーヨ、ピイーッ」と大きい声でよく鳴き、体も大きいので人の目にもつきやすい。その上、最近になって市街地にも強い適応性を見せはじめ姿も多くなった。『大きい黒っぽい鳥がよく来るんだが』という問い合わせの、その主はたいていヒヨドリである。そして、町の中の街路樹にさえ巣をかけるものが現われた。子供たちの野鳥いじめが減ったのが、もっとも大きな原因のようだが、楽しむだけの豊かな自然を奪われてしまった子供たちは、自然を楽しむすべも知らず、野鳥などには何の関心も示さなくなったのが、かえってヒヨドリたちの繁殖をすすめることになった。よろこんでよいのか、悲しんでよいのか判断に迷う。

 私の勤めている須佐野中学は町の真中の公害指定地域にある。自動車の騒音と排気ガス、悪臭、工場や倉庫、密集した人家、そのような自然と縁遠い地域にあるようにみえるが、それにもかかわらず、わずかに緑の残る寺院の繁みや、学校内の植込みに、かなりの数のヒヨドリが一年中姿を見せてくれる。7月頃になると巣立ち雛をつれた親鳥が、雛に餌を与える様子が見られる。また、私の住んでいる垂水区の住宅地では数が多く、庭の小さな樹にも巣をつくることがある。冬になれば、5〜10羽のヒヨドリが入れかわり立ちかわりやってくるので、いつも近所のどこからか声が聞えてくる。農村地域ではさらに数が多いし、山に行けば、どこにでも多数見ることができる。もともとさわがしい鳥だから数以上に目にふれる機会も多い。

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