神戸の自然シリーズ6 神戸の野鳥観察記
  前ページへ 目次へ 次ページへ
■7.キジバト −町に進出した野の鳥


10月1日(育雛8日目)

 餌を与える時以外は巣にもどらなくなった。夜も巣にいない。餌を与えるのも帰巣直後の1回で終り、散らばっている雛の糞を5〜6個食べてすぐ飛び去る。ふつうの小鳥の雛とちがって小さい糞を多数する。



10月3日(育雛10日目)
 6時30分、2羽相ついで帰巣、1羽が給餌をしている間は、他の親鳥は真上のTVアンテナで終るのを待ち、入れ替わって巣に入る。糞の始末をしなくなった。

10月4日(育雛11日目)
 午後から観察をはじめた。13時50分、14時20分の2回、それぞれ1羽ずつが帰巣して給餌しただけで終った。

10月5日 (育雛12日目)
 6時40分1羽、9時15分 2羽、2時15分1羽、13時15分 単独でそれぞれ給餌に帰ったが、これだけで終った。強い雨であったが雛を抱くことはしなかった。雛は巣の端の方へ移動して葉陰で雨を避けようとしている。しかし、細い松の葉では、さほど効果はなく、雨滴は玉になって雛の背中を転って落ちる。親の気配を感じるとあわてて巣の中央へ帰る。給餌は常に巣の上で行なわれている。雛の羽毛はだいぶんのびて雨を十分しのぐだけの脂もつき、中までぬれることはない。

10月7日(育雛14日目)
 7時に1羽だけが帰巣して給餌した。雛は羽毛もだいぶんそろって、脚もしっかりしてきた。巣より20cmほど離れた枝に移動して休むことが多いが、親の姿を見つけると巣にもどる。視力も十分になってきた。トビが上空を通過すると身を縮めてじっと凝視している。夜は巣の中央にもどっていた。

10月8日(育雛15日目 巣立ち)
 朝、巣の上50cmほどの枝に移動している。羽づくろいをしたり、盛んに羽ばたきをしている。10時頃、マツを離れ、15mほど離れたメタセコイアの繁みに移動した。巣立ちである。その後の雛の消息はわからない。近くにもキジバトの幼鳥が何羽かいるので区別がつかなくなってしまったからである。予想していたよりも短い日数の巣立ちであった。

11月30日
 巣のあった場所へ1羽の親鳥が帰ってきた。いつもと少し違ったコースで南側より進入し、松の上の方の枝へ、そこから枝うつりしながらもとの巣の位置まで下り、まわりの松葉をつついたり、しきりにクックーと鳴く。坐ることもあった。私たちの感覚でいうと、かつてのわが家をなつかしんでいるというふうに見える。私はこれが何の意味を持っているか理解でさなかった。松の木は雛の巣立ちを待って剪定され古巣も取除かれて後かたもない。まだ、冬の来ない神戸の気候が、この鳥に一種の繁殖の衝動を起こさせたのではないかと思われるが、古巣を利用しないこの鳥が、正しく元の巣の位置へ帰ったのは興味がある。2〜3分で飛び去った。

 小鳥が秋晴れの日にさえずったり、巣材をくわえて巣作りのまねごとをすることがあるのと何か通じ合う意味があるように思えた。

前ページへ 目次へ 次ページへ